「よっこいしょ」

 そう言って、ついに真白は晨の上にのしかかってきた。

 密着した身体はどこを触っても壊れてしまいそうなほど柔らかく、手の置き場に困ってしまう。

 それどころか、目のやり場にも困る。

 こんなにも至近距離で異性と顔を合わせたことはない。

 どこを見たらいいのかもわからず、視線が彷徨う。

 そんな晨の頬を、さらさらの黒髪がくすぐった。

 顔の横に置かれた白い手が、耳たぶに触れる。

「キス……する?」

 近づく真白の唇から目が離せず、我に返ったのは、真白の吐息が唇を掠めた時だった。

 晨は慌てて、真白の頬を両手で挟んで、動きを止めた。

 呼吸も止まっているし、なんなら心臓もこのまま止まってしまいそうだ。

「いい加減にしろよ!」

 晨はそう吐き捨てるように言うと、真白の身体を抱き寄せ、体勢を入れ替える。

 大きく目を見開いた真白の口から、小さな声が漏れた。