「食事を続けたいなら好きにしろ」
「「はい」」
ため息を1つ吐いて食事を再開したお父様に倣って私達兄妹も食べ始めたわ。
やっと落ち着いて食事できるのね。
今日は仲良し料理長のフルコースをゆっくりと最後まで美味しくいただけるのね。
嬉しいわ。
全員が黙々と食べ進めるから、ほんの少しばかりカチャカチャとナイフとフォークの音がしてしまうけれど、この程度は仕方ないのよ。
それにしても学習しないのだから、困ったちゃん達ね。
先月同じ事が起きた時にお父様は言ったはずよ?
『子供達も全員が入学して成人の年を迎えたのだから、いい加減食事は静かにさせろ。
次は誰であっても追い出す』
あの時出て行ったのはお父様。
意外にもそこを線引きしていたのには驚いたわ。
確かに月に1度の夕食で全員が黙々と食べた事は1度もないのだけれど。
あの時私は丸パンにハンバーグとお野菜をささっと挟んでお皿を持って後に続いたの。
お母様と従妹はそれを侮蔑の眼差しで見ていたけれど、お兄様は少しハッとしたお顔をしていたわね。
後日仲良し料理長がお兄様の夜食にハンバーガーを作ったのを聞いて、何だか勝利した気分になったのよ。
何に勝ったのかはわからないけれど、何となくね。
気分は前世の世界のサンドイッチ伯爵よ。
貴族の世界ではマナー違反でしょうけど、美味しいしお手軽に食べられるものね、ハンバーガー。
私手作りの酵母を使ったバンズはとっても美味しくてお肉とも相性抜群だったわ。
その夜は離れの私の部屋にも仲良し料理長さんから差し入れされたから実食済みよ。
中はしっかり火の通った、表面こんがり、焼き加減ばっちり、自室で再調理不要の臭みのない家畜牛肉100%使用のハンバーガーをね。
あの時の野生猪肉100%使用、ほぼ生肉ハンバーグはやっぱり臭みを感じたの。
だから私のお手製ハーブソルトを混ぜて焼き直したわ。
ほぼ生だったから、混ぜ易かったのは秘密よ。
せっかくの悪意に感謝したなんて知ったら可哀想じゃない?
なんて先月の食事を回想していたら、デザートまでたいらげてしまっていたのにびっくりね。
今日のデザートはプリン。
濃厚で滑らかな優しい味わいの、プリン。
お土産にお部屋に持って帰りたいと思いつつ美味しくいただいて、本日の夕食会は終了よ。
戻ってから、もしかして今世初の静かで有意義な食事会だったかしらと愕然とした頃だったかしら。
「お義姉様酷いわ!」
あらあら、ドアをバン、と開けての随分とけたたましい登場ね。
私の私室が離れという名のログハウスで良かったわ。
人間は私1人しか使っていないから、そんな音をさせても誰も気にしないのもの。
あの猪肉を焼いた後の臭い的な意味でも誰にも迷惑かけない素敵なログハウスなのだから、もっと丁寧に扱って欲しいわ。
建物は古くて修繕頻度も限りなく少ないのだもの。
それに壊れるとさすがに同居中のあの子や愉快な仲間達が怒りそう。
「あらあら、どうしたの?」
入口近くの小さなテーブルセットの椅子に腰かけながら微笑んで理由を聞いてみる。
「誤魔化さないで!
お義姉様がお父様とのお食事を邪魔したんじゃない!」
空いている椅子には座らないみたいね。
第三者がいる時とは全く真逆、切羽詰まった悪役令嬢のような高音金切り声ね。
立っているからお腹から力の入った声量も十分よ。
あら?
もしかしてお母様の実の娘はシエナだったのかしら?
食堂でのお母様とよく似ているわ。
「ふふふ」
「何よ、気持ち悪い」
微笑ましくなって笑いを漏らせば、薄気味悪そうに後ろへ一歩下がられてしまったわね。
警戒なんてしなくても、何もしないのに。
「共通点があって楽しくなってしまったの。
それで、お父様がどうかなさったの?」
仕方ないからこの子のお話を戻してあげましょう。
「そうよ!
お義姉様のせいでお父様に追い出されてお母様もカンカンなんだから!」
「そうなの?
そんな事あったかしら?」
あなた達が騒がしくて追い出されたのは思い出せるけれど、私のせいで追い出された事なんてあったの?
コテリと首を傾げてみせる。
「とぼけないで!
明日学園でシュア様に言いつけてやるから!」
「あら、そうなの。
それじゃあ明日ジョシュア様が教えて下さるのね」
にこにこと微笑む。
それにしても薄暗い室内でもわかるくらいにお顔が赤くなってきたけれど、この子大丈夫かしら?
「「はい」」
ため息を1つ吐いて食事を再開したお父様に倣って私達兄妹も食べ始めたわ。
やっと落ち着いて食事できるのね。
今日は仲良し料理長のフルコースをゆっくりと最後まで美味しくいただけるのね。
嬉しいわ。
全員が黙々と食べ進めるから、ほんの少しばかりカチャカチャとナイフとフォークの音がしてしまうけれど、この程度は仕方ないのよ。
それにしても学習しないのだから、困ったちゃん達ね。
先月同じ事が起きた時にお父様は言ったはずよ?
『子供達も全員が入学して成人の年を迎えたのだから、いい加減食事は静かにさせろ。
次は誰であっても追い出す』
あの時出て行ったのはお父様。
意外にもそこを線引きしていたのには驚いたわ。
確かに月に1度の夕食で全員が黙々と食べた事は1度もないのだけれど。
あの時私は丸パンにハンバーグとお野菜をささっと挟んでお皿を持って後に続いたの。
お母様と従妹はそれを侮蔑の眼差しで見ていたけれど、お兄様は少しハッとしたお顔をしていたわね。
後日仲良し料理長がお兄様の夜食にハンバーガーを作ったのを聞いて、何だか勝利した気分になったのよ。
何に勝ったのかはわからないけれど、何となくね。
気分は前世の世界のサンドイッチ伯爵よ。
貴族の世界ではマナー違反でしょうけど、美味しいしお手軽に食べられるものね、ハンバーガー。
私手作りの酵母を使ったバンズはとっても美味しくてお肉とも相性抜群だったわ。
その夜は離れの私の部屋にも仲良し料理長さんから差し入れされたから実食済みよ。
中はしっかり火の通った、表面こんがり、焼き加減ばっちり、自室で再調理不要の臭みのない家畜牛肉100%使用のハンバーガーをね。
あの時の野生猪肉100%使用、ほぼ生肉ハンバーグはやっぱり臭みを感じたの。
だから私のお手製ハーブソルトを混ぜて焼き直したわ。
ほぼ生だったから、混ぜ易かったのは秘密よ。
せっかくの悪意に感謝したなんて知ったら可哀想じゃない?
なんて先月の食事を回想していたら、デザートまでたいらげてしまっていたのにびっくりね。
今日のデザートはプリン。
濃厚で滑らかな優しい味わいの、プリン。
お土産にお部屋に持って帰りたいと思いつつ美味しくいただいて、本日の夕食会は終了よ。
戻ってから、もしかして今世初の静かで有意義な食事会だったかしらと愕然とした頃だったかしら。
「お義姉様酷いわ!」
あらあら、ドアをバン、と開けての随分とけたたましい登場ね。
私の私室が離れという名のログハウスで良かったわ。
人間は私1人しか使っていないから、そんな音をさせても誰も気にしないのもの。
あの猪肉を焼いた後の臭い的な意味でも誰にも迷惑かけない素敵なログハウスなのだから、もっと丁寧に扱って欲しいわ。
建物は古くて修繕頻度も限りなく少ないのだもの。
それに壊れるとさすがに同居中のあの子や愉快な仲間達が怒りそう。
「あらあら、どうしたの?」
入口近くの小さなテーブルセットの椅子に腰かけながら微笑んで理由を聞いてみる。
「誤魔化さないで!
お義姉様がお父様とのお食事を邪魔したんじゃない!」
空いている椅子には座らないみたいね。
第三者がいる時とは全く真逆、切羽詰まった悪役令嬢のような高音金切り声ね。
立っているからお腹から力の入った声量も十分よ。
あら?
もしかしてお母様の実の娘はシエナだったのかしら?
食堂でのお母様とよく似ているわ。
「ふふふ」
「何よ、気持ち悪い」
微笑ましくなって笑いを漏らせば、薄気味悪そうに後ろへ一歩下がられてしまったわね。
警戒なんてしなくても、何もしないのに。
「共通点があって楽しくなってしまったの。
それで、お父様がどうかなさったの?」
仕方ないからこの子のお話を戻してあげましょう。
「そうよ!
お義姉様のせいでお父様に追い出されてお母様もカンカンなんだから!」
「そうなの?
そんな事あったかしら?」
あなた達が騒がしくて追い出されたのは思い出せるけれど、私のせいで追い出された事なんてあったの?
コテリと首を傾げてみせる。
「とぼけないで!
明日学園でシュア様に言いつけてやるから!」
「あら、そうなの。
それじゃあ明日ジョシュア様が教えて下さるのね」
にこにこと微笑む。
それにしても薄暗い室内でもわかるくらいにお顔が赤くなってきたけれど、この子大丈夫かしら?