「エスヤーラ王国! それってあの?」
「は? カノン知ってるの?」
「知ってるも何も… 今爆売れ中の乙ゲーの国じゃん!」
私と山ちゃんは顔を見合わせてハテナになる。乙女ゲームなんて知らんし。
あっ! でも。昨日クリスに聞いた時に引っかかっていたのは、カノンに聞いたことがあったからか〜、納得。
「いやいやいや… で? この人はその国の人? 実在するの? え、本当に?」
山ちゃんはちょっと半信半疑だ。ま〜、無理もないか。
「いや、その国かどうかは知らないけど。そこの魔法使いさんだって。現に魔法陣がキッチンの床に浮かび上がったしね。てか、明日の夜に帰るんだ」
私はしれっと明日帰ることを伝える。
「「はぁ?」」
山ちゃんとカノンは思考が停止してしまった。口をあんぐり開けてクリスを見ている。
「山ちゃん殿とカノン殿。短い間だがこちらの人間と話せてよかった。私は自分の世界に帰る予定だ」
「山ちゃん殿って。クリスさんだっけ? その話が本当なら召喚しようとしたゆりも連れて行く気?」
山ちゃんはとりあえずは話を信じてくれたみたいだけど、ズバッと確信をついてきた。って、私もその事は考えてなかったわ。どうなの?
「いや… ユーリは連れて行かないよ。昨日『召喚は誘拐だ』と言われたばかりだからな」
「誘拐って、ゆりちゃん! え〜もったいない!」
カノンはオタなのでこの手の話は好きなのか、目がランランしている。なんなら自分が行くと言い出しそうだ。
「あはは、クリス。そうしてくれると助かる。私も急に行くのは…」
「え〜急じゃなきゃいいの〜?」
「そう言う意味じゃ… まぁクリスはいい人そうだけど…」
「いいんだカノン殿。あちらに帰ったら召喚の儀の事を王と話してみようと思う。ユーリに言われるまで私達も分かっていなかった。聖女を召喚すると言う意味を」
急にしんみりとなった私達はみんなで下を向いてしまう。う〜、気まずい。
「てかさ、私、今そのゲーム持ってるんだけど?」
そんな空気の中カノンがいきなりゲームの話をし始める。
「ん?」
「本物がいるんだしやってみる?」
「いいね〜、面白そうじゃん」
返事を待たずに、山ちゃんとカノンはいそいそとゲームの準備を始めた。
「ユーリ、何がどうなったのだ?」
「あぁ、今からエスヤーラ王国が出てくるゲーム… 機械式の小説みたいなのをしようかって。もしかしたらクリスも出てくるんじゃない?」
「何! 我が国の物語か… それは興味があるな」
カノンは『でしょ〜!』とウッキウキだ。ゲームをスタートし、あらすじの映像が流れ始めた。
「実物のような絵だ。しかも動いているとは… あ! 我が王国だ。王城も! 城下街まで… ん? 王子か? 下の文字が読めない… ユーリ訳してくれないか?」
「え? 『…お忍びで外出していた第一王子のアンドリューは、ある日の夕暮れ、王都のはずれの森にて運命の出会いをする』かな」
「何! アンドリュー様…」
と、クリスは考え込むように腕組みをしブツブツ言い出した。さっきまであんなに食いついて見ていた画面をもう見ていない。どうしたのかな?
「カノン。これって一時停止できる? クリスが急に考え込んじゃって」
「へ? うん。どうしたの、クリスさん?」
私たち三人は心配しながらクリスを見た。
「あぁ… 実はアンドリュー様。先ほどの第一王子だが、実在する。しかも、よく城を抜け出しては市井へ視察に出かけているのも事実なのだ… まさか本当に私の世界の…」
「それって、しかもクリスさんが生きている時代設定も合ってるってこと?」
「信じがたいが… そうなるな」
私たちは驚きすぎて無言で顔を見合わせる。
「じゃぁ、この物語って… 実話? 過去のことなの? それとも未来のこと?」
「それはわからない。しかし『エスヤーラ王国』『第一王子のアンドリュー様』『そして私』が揃うのだ。にわかだが、このゲームとやらは我が国がモデルになっていると思う。信じざる得ない根拠が揃っているのは確かだ」
それって、どうなの? そうなると、これって…
「じゃぁ、このゲームを進めていったら未来がわかるかもしれないってこと?」
「それは、ゆりちゃん考えすぎだよ。だって乙ゲーだよ? 選択肢が違えば未来も違うよ?」
「あっ、そっか…」
う〜んと私とカノンが悩んでいると
「カノン? これのオリジナルシナリオとか小説版みたいなのってないの?」
「そっか〜山ちゃん冴えてる! あるよ〜これの原作があるんだ。実は小説が先なんだよね〜」
「で?」
「え? 今は持ってないよ。家にあるよ〜」
山ちゃんは大きく息を吐いてからクリスに向き合う。
「は〜。クリスさん、今の会話で何となくわかったと思いますが。あなたの国について書かれた小説が実在します。その内容が未来なのか過去なのかわかりませんが。クリスさんも認めたように、恐らくあなたが生きる時代のものでしょう。そして、あなたにとってどう影響するのかわかりません。どうしますか? 見たいですか?」
クリスは『うん』と頷き山ちゃんを見据える。
「山ちゃん殿、私は知った以上は我が国のことだ、見たいと思う。しかし、先ほどの動く絵の文字が読めなかった。なのであなた達に助けてもらいたい。お願いする、訳してはくれないか?」
「わかりました。あなたが帰るまでにあと一日ありますよね。明日、もう一度集まりましょう」
「かたじけない」
信じられない。いや、現に召喚されたクリスがいるのだからこの展開もアリといえばアリなのか? そんな山ちゃんはカノンにテキパキと指示を出している。
「カノン、明日、病欠取りな。んで、朝九時にここ集合ね。今日はもう帰ろう」
「え? 山ちゃん、そんな急に無理だよ〜」
「何言ってんの! 仮病やなんやでちょくちょく休んでるの知ってんだよ。明日ぐらい休み取れるでしょ」
「え〜、お〜ぼ〜」
「って事で、ゆり、明日また来るから。よろしく」
「は? え? うん?」
と、明日また集まることになった。
「は? カノン知ってるの?」
「知ってるも何も… 今爆売れ中の乙ゲーの国じゃん!」
私と山ちゃんは顔を見合わせてハテナになる。乙女ゲームなんて知らんし。
あっ! でも。昨日クリスに聞いた時に引っかかっていたのは、カノンに聞いたことがあったからか〜、納得。
「いやいやいや… で? この人はその国の人? 実在するの? え、本当に?」
山ちゃんはちょっと半信半疑だ。ま〜、無理もないか。
「いや、その国かどうかは知らないけど。そこの魔法使いさんだって。現に魔法陣がキッチンの床に浮かび上がったしね。てか、明日の夜に帰るんだ」
私はしれっと明日帰ることを伝える。
「「はぁ?」」
山ちゃんとカノンは思考が停止してしまった。口をあんぐり開けてクリスを見ている。
「山ちゃん殿とカノン殿。短い間だがこちらの人間と話せてよかった。私は自分の世界に帰る予定だ」
「山ちゃん殿って。クリスさんだっけ? その話が本当なら召喚しようとしたゆりも連れて行く気?」
山ちゃんはとりあえずは話を信じてくれたみたいだけど、ズバッと確信をついてきた。って、私もその事は考えてなかったわ。どうなの?
「いや… ユーリは連れて行かないよ。昨日『召喚は誘拐だ』と言われたばかりだからな」
「誘拐って、ゆりちゃん! え〜もったいない!」
カノンはオタなのでこの手の話は好きなのか、目がランランしている。なんなら自分が行くと言い出しそうだ。
「あはは、クリス。そうしてくれると助かる。私も急に行くのは…」
「え〜急じゃなきゃいいの〜?」
「そう言う意味じゃ… まぁクリスはいい人そうだけど…」
「いいんだカノン殿。あちらに帰ったら召喚の儀の事を王と話してみようと思う。ユーリに言われるまで私達も分かっていなかった。聖女を召喚すると言う意味を」
急にしんみりとなった私達はみんなで下を向いてしまう。う〜、気まずい。
「てかさ、私、今そのゲーム持ってるんだけど?」
そんな空気の中カノンがいきなりゲームの話をし始める。
「ん?」
「本物がいるんだしやってみる?」
「いいね〜、面白そうじゃん」
返事を待たずに、山ちゃんとカノンはいそいそとゲームの準備を始めた。
「ユーリ、何がどうなったのだ?」
「あぁ、今からエスヤーラ王国が出てくるゲーム… 機械式の小説みたいなのをしようかって。もしかしたらクリスも出てくるんじゃない?」
「何! 我が国の物語か… それは興味があるな」
カノンは『でしょ〜!』とウッキウキだ。ゲームをスタートし、あらすじの映像が流れ始めた。
「実物のような絵だ。しかも動いているとは… あ! 我が王国だ。王城も! 城下街まで… ん? 王子か? 下の文字が読めない… ユーリ訳してくれないか?」
「え? 『…お忍びで外出していた第一王子のアンドリューは、ある日の夕暮れ、王都のはずれの森にて運命の出会いをする』かな」
「何! アンドリュー様…」
と、クリスは考え込むように腕組みをしブツブツ言い出した。さっきまであんなに食いついて見ていた画面をもう見ていない。どうしたのかな?
「カノン。これって一時停止できる? クリスが急に考え込んじゃって」
「へ? うん。どうしたの、クリスさん?」
私たち三人は心配しながらクリスを見た。
「あぁ… 実はアンドリュー様。先ほどの第一王子だが、実在する。しかも、よく城を抜け出しては市井へ視察に出かけているのも事実なのだ… まさか本当に私の世界の…」
「それって、しかもクリスさんが生きている時代設定も合ってるってこと?」
「信じがたいが… そうなるな」
私たちは驚きすぎて無言で顔を見合わせる。
「じゃぁ、この物語って… 実話? 過去のことなの? それとも未来のこと?」
「それはわからない。しかし『エスヤーラ王国』『第一王子のアンドリュー様』『そして私』が揃うのだ。にわかだが、このゲームとやらは我が国がモデルになっていると思う。信じざる得ない根拠が揃っているのは確かだ」
それって、どうなの? そうなると、これって…
「じゃぁ、このゲームを進めていったら未来がわかるかもしれないってこと?」
「それは、ゆりちゃん考えすぎだよ。だって乙ゲーだよ? 選択肢が違えば未来も違うよ?」
「あっ、そっか…」
う〜んと私とカノンが悩んでいると
「カノン? これのオリジナルシナリオとか小説版みたいなのってないの?」
「そっか〜山ちゃん冴えてる! あるよ〜これの原作があるんだ。実は小説が先なんだよね〜」
「で?」
「え? 今は持ってないよ。家にあるよ〜」
山ちゃんは大きく息を吐いてからクリスに向き合う。
「は〜。クリスさん、今の会話で何となくわかったと思いますが。あなたの国について書かれた小説が実在します。その内容が未来なのか過去なのかわかりませんが。クリスさんも認めたように、恐らくあなたが生きる時代のものでしょう。そして、あなたにとってどう影響するのかわかりません。どうしますか? 見たいですか?」
クリスは『うん』と頷き山ちゃんを見据える。
「山ちゃん殿、私は知った以上は我が国のことだ、見たいと思う。しかし、先ほどの動く絵の文字が読めなかった。なのであなた達に助けてもらいたい。お願いする、訳してはくれないか?」
「わかりました。あなたが帰るまでにあと一日ありますよね。明日、もう一度集まりましょう」
「かたじけない」
信じられない。いや、現に召喚されたクリスがいるのだからこの展開もアリといえばアリなのか? そんな山ちゃんはカノンにテキパキと指示を出している。
「カノン、明日、病欠取りな。んで、朝九時にここ集合ね。今日はもう帰ろう」
「え? 山ちゃん、そんな急に無理だよ〜」
「何言ってんの! 仮病やなんやでちょくちょく休んでるの知ってんだよ。明日ぐらい休み取れるでしょ」
「え〜、お〜ぼ〜」
「って事で、ゆり、明日また来るから。よろしく」
「は? え? うん?」
と、明日また集まることになった。