3日ぶりに、じぶんの部屋のドアを開けた。

 もしかしたら、チヒロがもどっているかもしれない。

 すがるように信じた期待はあっさり裏切られ、息苦しくなるほどの熱気が僕を出迎えた。

 力が──抜けていく。

 スポーツバッグをすとんと落とした。

 部屋には、チヒロとの濃過ぎる思い出があふれ返っている。

 映像を眺めるように、なにげないシーンがフラッシュバックしていく。

 ラグの上に横座りして、ノートPCのディスプレイに映る映画に没入していたチヒロ。

 窓から身を乗りだすように、庭を眺めていたチヒロ。

 ベッドに横たわり、寝入っていた無防備なチヒロ。