会社を出て、いつも通りコンビニへ向かった。
 金曜日なのに、身体はいい具合にぐだぐだしてくれない。三埜くんになにか言われそうだけど、今夜はたくさんアルコールを流し込んで、昼までずっと眠りたい。
 死にますよと怒るであろう三埜くんにどう反論しようか考えていると、カウンターのなかで女の子の店員と話す彼を見つけた。
 よほど話が弾んでいるのか、同時に入店した男性が大柄でその影になってしまったのか、彼は私に気づかない。その距離で話す必要はあるのかと違和感を抱くような距離で、ふたりはずっと話している。
 どちらからその距離をつくったんだろう。ううん。三埜くんはああいう子だから、きっと深い意味はない。私が神経質になっているだけだ。
 そうやっていろいろ言い聞かせてみても、あの女の子と並んだ三埜くんと顔を合わせる自信がなかった私はそのままコンビニを出て、アパートの階段を上がった。化粧もそのままに顔を洗う。
 いつからこんなに依存してしまったんだろう。名前も知らないただのコンビニ店員と客だったのに。彼と同じような年ごろの、わかりやすくかわいい女の子と親しそうに話しているだけで、なにをこんなに動揺しているんだろう。