セリちゃんはあっさり認めて、つやつやのチェリーパイを食べる。あたしのチーズケーキはいっこうに減らない。自分で自分にドン引きしてしまい、フォークを握った手を動かす気力もない。そんなことするほどあたしは酔ってたんだろうか。

「あたし、やばいよね?」

「は?」

「だって、見ず知らずの男の人を家に連れ込むとか……」

 今回はなにもなかったからいいものの、もしまた同じことをしたらどうなるかわからない。犯罪に巻き込まれたり、殺されてしまうかもしれない。

 燦々と陽の降りそそぐテラス席で、あたしの身体はみるみる凍りついた。セリちゃんはストローでアイスティーをかき回しながら

「あの人、奈央の知り合いでしょ?」

 きょとんとした顔で言った。あたしの身体は一気に溶けて、ずずいと前のめりになる。

「知り合い?」

「そうでしょ?」

「そうなの?!」

「え……。あんた昨日のこと、ほんとうにぜんっぜん覚えてないの?」

 数時間前に男に訊かれたこととまったく同じことを訊かれ、あたしは頭が飛んでいきそうなくらい首を振った。

「セリちゃんが知ってることぜんぶ教えて。あの人、なんていうの? 名前は?」