「え、ふられちゃったの? ゆいゆいが?」

「うん」

「あんなに仲良しだったのに?」

「うん」

「おしまいってこと?」

「うん」

「ほんとうに、ほんとうに、おしまい?」

「何度も言わせないでくれない?」

 私は悪態をつきながら廃棄処分になったパンをカゴに詰める。

 あ、まずい。これはまだ廃棄対象じゃない。陳列棚に戻し、かたちを整える。

 バイトといえばコンビニ。そう、コンビニ。

 そんな単純な発想で選んだこのバイトは、想像していた以上に覚えることが多い。接客、レジ打ち、品出し、廃棄物の回収、ホットスナックの調理、宅配便の手配、店内やトイレの清掃――などなど。そのうえ繁華街という立地なので、酔っぱらってべろんべろんの客やいろいろな意味でヤバそうな客がちょろちょろやってくる。

 なかにはナンパしてくる客もいる。「お客様に連絡先は教えられないんです。はい、決まりで。申し訳ありません」と何度言ったかわからない。そんななか、唯一連絡先を交換した。それが彼だった。