🍦
「……ステル?」
聞いたことのある懐かしい声がした。
昔から知っているというより、最近まで聞いていた声。
「やっぱりアステルだ。会いたかったよ」
振り向くと同時にジャンプしながら抱きつかれ、勢いでそのまま倒れ込んだ。
沈むことのないふかふかの雲よりも彼女の柔らかい胸が私の小さな胸を押し潰す。
羨望の念と憧憬の念を抱きながら少しだけこの姿を恨んだ。
永遠にこの姿のままなら彼女くらいの大きさが欲しかったと見えない何かに対して訴えてみたりする。
「朱花?」
「本名で呼んだら怒られちゃうって」
急なことで思わず本名を言ってしまった。
私たち涅槃師は死者である前に元犯罪者。
対象者を天国へ浄化させるための使者でもある。
それ以外に私たちがここで存在できる理由などない。
「もう、相変わらず可愛いな」
そう言いながら私の頬を顔でぐりぐりしている。
「ちょっと擽ったいって」
「久々の再会なんだしいいじゃん」
アキレアにぐりぐりされながら冷静な思考でいた。
どうしてここにいるの?
私が医療刑務所に移るときはピンピンしていたよね?
なんで死んじゃっているの?
この曼荼羅の刻印の中にあるリストには担当者だけじゃなく涅槃師の情報も載っているが、それは本当に簡易的で顔と涅槃師名くらいしか記載されていない。
一冊の本にすると六法全書くらいの厚さになるからちゃんと見ている人なんていないだろう。
ぶっちゃけ情報交換するくらいしか使わないし。
リストを開いて再確認するとたしかにアキレアはそこに載っていた。
「まさか、私がここにいると思わなかった?」
「うん。だってピンピンしとったやん」
「実はね……」
アキレア、いや、朱花は生前の最期の話をしてくれた。
「あんた生意気なのよ」
「こんな狭い世界で威張ってんじゃねぇよ。ババアが」
朱花は刑務所内の通路でお局と言い合いになっていた。
「いま何て言った?」
「ババアって言ったんだよ。良い歳して稚拙なことしてんじゃねぇよ」
「ガキがイキがんじゃないよ。ここでアタシに逆らったらどうなるか教えてやろうか」
「やってみろよ、くそババア!」
髪の毛を引っ張られたので仕返しした朱花。
お局の髪の毛が何本か抜けたのがわかったが、それでも止めなかった。
揉み合いの中、足を滑らせた朱花は床に強く頭を打って意識を失った。
「なんでそんな喧嘩になったと?」
「最近入所してきた新人がトレイに乗った食事を持ってテーブルに座ろうとしたとき、お局がその新人に足をかけて転ばせたの。よくある新人いじめよ。その新人はトレイごと落としてしまって、その日のご飯をほとんど食べられなくなっちゃったの。少し気の弱そうな子でさ、同じような嫌がらせを何回も受けてたからさすがに我慢できなくて」
「アキレアは正しいことをしたやん」
正義感はときに仇になる。
下の人間が上の人間の泥を被る。
どの世界にもよくある話。
心の優しい人が損をして利己心の強い人が得をする。
私を犯したアイツはきっとどこかでまだ生きている。
本当、理不尽というか不条理というか。
「でもね、別に後悔はしてないよ。私は正しいことをしたと思ってる」
「うん。私もそう思う」
刑務所での彼女しか知らないけれど、洒脱で真っ直ぐで筋の通った人だということはすぐにわかった。
だから私もすぐに心を許した。
「そういえばさ」
「何?」
その後の言葉を選んでいるのか、珍しく言い淀んでいる。
「……ううん、何でもない」
めっちゃ気になるんですが。
「あんま長居してると怒られちゃうからそろそろ行くね」
「うん。落ち着いたらゆっくりお話ししよ」
そだねと言ってアキレアはその場を後にした。
久しぶりの再会ができて嬉しかった反面、生きているときに再会したかったという気持ちもあった。
**
今日は新しい浄化対象者がつく日。
向かった先にいたのはジャージ姿の1人の青年。
「あなたが助川 昴二さんね?」
「はい」
「あなたを担当する五十夜 アステルと申します。期間内に無事浄化させるため全力で協力させて頂きます」
「よろしくお願いします」
「確認ですが、あなたの浄化の条件は『甲子園のマウンドに立って三振を取ること』で間違いないですか?」
「はい。でも当時のチームメイトは全員生きています。だから僕の夢は叶いません」
「当時のチームメイトじゃないとダメってことですか?」
「そうです。あのパンデミックのせいで僕らの3年間は色を失いました。みんなで甲子園に出場するために練習してきたのに、大会が開かれることは一度もなく目指すことすらできなかったんです」
彼は高校3年間の青春を野球に捧げてきたけれど、パンデミックで台無しになった。
彼が野球を始めたのは6歳のとき、父親と観に行った野球観戦でプロ野球選手のピッチング姿に大きな衝撃を受けたことがきっかけらしい。
その日から毎日野球漬けで、甲子園に出場するために神奈川の名門高校に入学した。
1年生のときからレギュラー候補として期待されていたが、あの未曾有のパンデミックが地球を包み込んだ。
世界中の人々が苦しみ続けた約3年間。
彼にとっては人生のかかった青春が、あの日からブラックホールに飲み込まれたかのように暗闇の中へと消えていった。
もちろん、大会は2年生のときも3年生のときも開催されることはなかった。
高校卒業後、大学には行かず社会人野球部に入るとエースとして活躍し、プロも注目するようなピッチャーになった。
しかし、休日のある朝。ランニング中に心筋梗塞で亡くなった。
睡眠も取らず無理にトレーニングを続けたことが原因らしい。
「みんなと同じユニフォームを着て、甲子園のマウンドに立ってアウトを取りたいんです」
その声はすぐに手を差し伸べないと遠くに消えてしまうかのように儚く、本当はリアルタイムで経験したかったという想いが込められていると私には感じた。
私もあの男によって青春の1ページを奪われた1人だけれど、彼のように高校生のときにしか味わえなかった経験を奪われた気持ちは何とも形容し難いと思う。
ただ彼の夢を叶えるにはもう1つ大きな問題がある。
野球の試合に必要な人数は最低18人。
今回の願いを叶えるにはまず彼らのチームメイト8人を揃え、バッターを1人用意しなければならない。
バッターはなんとかなるとしても当時のチームメイトを揃えるにはどうしたら良いのだろう?
考えても答えが出そうになかったので、知り合いの涅槃師に相談することにした。
(それはなかなかハードな案件だね)
(当時のチームメイト集めるってかなり難題じゃない?)
(あの方たちに相談してみたら?)
私はとある場所へと向かった。
「あら、アステルちゃんじゃない」
「どうしたの~?」
「ーというわけなんです」
末那さんと琉那さんが銀色の髪を靡かせながら相談に乗ってくれている。
「なるほどね、それなら私たちに任せて」
「アステルちゃんはバッターとして協力してくれる人を探してくれればいいからね~」
私の悩みを打ち消すように大きな瞳でアドバイスをくれた。
年齢も過去もどんな人たちかもわからないけれど、こういうときに頼りになるのは事実。
ー数日後、やってきたのは外壁が蔦で覆われた兵庫県にある本当宛らの球場。
雲の上にどっしりと構えるその球場のマウンドに彼が立ち、ピッチング練習をはじめる。
グラウンドには当時のメンバーが当時のユニフォームを着て試合に備えて身体を温めている。
末那さんと琉那さんがどのようにしてチームメイトを集めたのかは謎だけれど、私たちが手に負えないことを簡単にこなしてしまうから凄い。
「竜胆くん、ありがとね」
「お安い御用っす。アス姉の頼みならいつでも協力するっすよ」
サムズアップした後に何度か素振りをし、バッターボックスに立つ竜胆くんは私が涅槃師になって少し経ってから出会った後輩の涅槃師。
偶然にも野球経験者だったので来てもらった。
もちろん対象者の浄化の条件は伝えているが、出来レースでは浄化されない可能性があるので真剣勝負するようにお願いしてある。
一切の忌憚は不要。
私は野球をしたことがないのでベンチで様子を観ている。
初球。
助川くんが大きく振りかぶって投げた直球はプロ顔負けのスピードとコントロールで球を取ったキャッチャーのミットが大きな音を立てた。
そのあまりの凄さに、観に来ていた周囲からは響めきが起きた。
2球目も伸びのあるストレートでストライク。
3球目と4球目は少し力んだのか、球はワンバウンドして外れた。
すると、助川くんが左手で右肘を押さえている。
その表情は悲痛に満ちている。
心配した内野手がマウンドに駆け寄る。
彼は大丈夫と言って再びロジンを手に持った。
2ボール2ストライクからの5球目。
投げた球はバッターの手前で横に大きくスライドしたがボールの判定。
3ボール2ストライクとなった6球目。
ストレートを投げるも竜胆くんがバットに当ててファール。
7球目もファール。
そして8球目。
真ん中に来た球を竜胆くんがフルスイングする。
当たったと思ったがそのままボールは真下にストンと落ちた。
空振り三振しアウトを取った。
チーム全員がガッツポーズをした後、ベンチの前に整列し、帽子を取って挨拶をする。
「ありがとうございましたー!」
すると、私の方に向かって再度お辞儀をした助川くんはそのままゆっくりと消えていった。
「彼のピッチング凄かったっす。最後はホームラン狙ったっすけどかすりもしませんでしたよ」
悔しそうな表情の竜胆くんだったが、願いの叶った助川くんは無事浄化された。
しかし、私の中に潜んでいた贖罪の念が顔を出した。
「……ステル?」
聞いたことのある懐かしい声がした。
昔から知っているというより、最近まで聞いていた声。
「やっぱりアステルだ。会いたかったよ」
振り向くと同時にジャンプしながら抱きつかれ、勢いでそのまま倒れ込んだ。
沈むことのないふかふかの雲よりも彼女の柔らかい胸が私の小さな胸を押し潰す。
羨望の念と憧憬の念を抱きながら少しだけこの姿を恨んだ。
永遠にこの姿のままなら彼女くらいの大きさが欲しかったと見えない何かに対して訴えてみたりする。
「朱花?」
「本名で呼んだら怒られちゃうって」
急なことで思わず本名を言ってしまった。
私たち涅槃師は死者である前に元犯罪者。
対象者を天国へ浄化させるための使者でもある。
それ以外に私たちがここで存在できる理由などない。
「もう、相変わらず可愛いな」
そう言いながら私の頬を顔でぐりぐりしている。
「ちょっと擽ったいって」
「久々の再会なんだしいいじゃん」
アキレアにぐりぐりされながら冷静な思考でいた。
どうしてここにいるの?
私が医療刑務所に移るときはピンピンしていたよね?
なんで死んじゃっているの?
この曼荼羅の刻印の中にあるリストには担当者だけじゃなく涅槃師の情報も載っているが、それは本当に簡易的で顔と涅槃師名くらいしか記載されていない。
一冊の本にすると六法全書くらいの厚さになるからちゃんと見ている人なんていないだろう。
ぶっちゃけ情報交換するくらいしか使わないし。
リストを開いて再確認するとたしかにアキレアはそこに載っていた。
「まさか、私がここにいると思わなかった?」
「うん。だってピンピンしとったやん」
「実はね……」
アキレア、いや、朱花は生前の最期の話をしてくれた。
「あんた生意気なのよ」
「こんな狭い世界で威張ってんじゃねぇよ。ババアが」
朱花は刑務所内の通路でお局と言い合いになっていた。
「いま何て言った?」
「ババアって言ったんだよ。良い歳して稚拙なことしてんじゃねぇよ」
「ガキがイキがんじゃないよ。ここでアタシに逆らったらどうなるか教えてやろうか」
「やってみろよ、くそババア!」
髪の毛を引っ張られたので仕返しした朱花。
お局の髪の毛が何本か抜けたのがわかったが、それでも止めなかった。
揉み合いの中、足を滑らせた朱花は床に強く頭を打って意識を失った。
「なんでそんな喧嘩になったと?」
「最近入所してきた新人がトレイに乗った食事を持ってテーブルに座ろうとしたとき、お局がその新人に足をかけて転ばせたの。よくある新人いじめよ。その新人はトレイごと落としてしまって、その日のご飯をほとんど食べられなくなっちゃったの。少し気の弱そうな子でさ、同じような嫌がらせを何回も受けてたからさすがに我慢できなくて」
「アキレアは正しいことをしたやん」
正義感はときに仇になる。
下の人間が上の人間の泥を被る。
どの世界にもよくある話。
心の優しい人が損をして利己心の強い人が得をする。
私を犯したアイツはきっとどこかでまだ生きている。
本当、理不尽というか不条理というか。
「でもね、別に後悔はしてないよ。私は正しいことをしたと思ってる」
「うん。私もそう思う」
刑務所での彼女しか知らないけれど、洒脱で真っ直ぐで筋の通った人だということはすぐにわかった。
だから私もすぐに心を許した。
「そういえばさ」
「何?」
その後の言葉を選んでいるのか、珍しく言い淀んでいる。
「……ううん、何でもない」
めっちゃ気になるんですが。
「あんま長居してると怒られちゃうからそろそろ行くね」
「うん。落ち着いたらゆっくりお話ししよ」
そだねと言ってアキレアはその場を後にした。
久しぶりの再会ができて嬉しかった反面、生きているときに再会したかったという気持ちもあった。
**
今日は新しい浄化対象者がつく日。
向かった先にいたのはジャージ姿の1人の青年。
「あなたが助川 昴二さんね?」
「はい」
「あなたを担当する五十夜 アステルと申します。期間内に無事浄化させるため全力で協力させて頂きます」
「よろしくお願いします」
「確認ですが、あなたの浄化の条件は『甲子園のマウンドに立って三振を取ること』で間違いないですか?」
「はい。でも当時のチームメイトは全員生きています。だから僕の夢は叶いません」
「当時のチームメイトじゃないとダメってことですか?」
「そうです。あのパンデミックのせいで僕らの3年間は色を失いました。みんなで甲子園に出場するために練習してきたのに、大会が開かれることは一度もなく目指すことすらできなかったんです」
彼は高校3年間の青春を野球に捧げてきたけれど、パンデミックで台無しになった。
彼が野球を始めたのは6歳のとき、父親と観に行った野球観戦でプロ野球選手のピッチング姿に大きな衝撃を受けたことがきっかけらしい。
その日から毎日野球漬けで、甲子園に出場するために神奈川の名門高校に入学した。
1年生のときからレギュラー候補として期待されていたが、あの未曾有のパンデミックが地球を包み込んだ。
世界中の人々が苦しみ続けた約3年間。
彼にとっては人生のかかった青春が、あの日からブラックホールに飲み込まれたかのように暗闇の中へと消えていった。
もちろん、大会は2年生のときも3年生のときも開催されることはなかった。
高校卒業後、大学には行かず社会人野球部に入るとエースとして活躍し、プロも注目するようなピッチャーになった。
しかし、休日のある朝。ランニング中に心筋梗塞で亡くなった。
睡眠も取らず無理にトレーニングを続けたことが原因らしい。
「みんなと同じユニフォームを着て、甲子園のマウンドに立ってアウトを取りたいんです」
その声はすぐに手を差し伸べないと遠くに消えてしまうかのように儚く、本当はリアルタイムで経験したかったという想いが込められていると私には感じた。
私もあの男によって青春の1ページを奪われた1人だけれど、彼のように高校生のときにしか味わえなかった経験を奪われた気持ちは何とも形容し難いと思う。
ただ彼の夢を叶えるにはもう1つ大きな問題がある。
野球の試合に必要な人数は最低18人。
今回の願いを叶えるにはまず彼らのチームメイト8人を揃え、バッターを1人用意しなければならない。
バッターはなんとかなるとしても当時のチームメイトを揃えるにはどうしたら良いのだろう?
考えても答えが出そうになかったので、知り合いの涅槃師に相談することにした。
(それはなかなかハードな案件だね)
(当時のチームメイト集めるってかなり難題じゃない?)
(あの方たちに相談してみたら?)
私はとある場所へと向かった。
「あら、アステルちゃんじゃない」
「どうしたの~?」
「ーというわけなんです」
末那さんと琉那さんが銀色の髪を靡かせながら相談に乗ってくれている。
「なるほどね、それなら私たちに任せて」
「アステルちゃんはバッターとして協力してくれる人を探してくれればいいからね~」
私の悩みを打ち消すように大きな瞳でアドバイスをくれた。
年齢も過去もどんな人たちかもわからないけれど、こういうときに頼りになるのは事実。
ー数日後、やってきたのは外壁が蔦で覆われた兵庫県にある本当宛らの球場。
雲の上にどっしりと構えるその球場のマウンドに彼が立ち、ピッチング練習をはじめる。
グラウンドには当時のメンバーが当時のユニフォームを着て試合に備えて身体を温めている。
末那さんと琉那さんがどのようにしてチームメイトを集めたのかは謎だけれど、私たちが手に負えないことを簡単にこなしてしまうから凄い。
「竜胆くん、ありがとね」
「お安い御用っす。アス姉の頼みならいつでも協力するっすよ」
サムズアップした後に何度か素振りをし、バッターボックスに立つ竜胆くんは私が涅槃師になって少し経ってから出会った後輩の涅槃師。
偶然にも野球経験者だったので来てもらった。
もちろん対象者の浄化の条件は伝えているが、出来レースでは浄化されない可能性があるので真剣勝負するようにお願いしてある。
一切の忌憚は不要。
私は野球をしたことがないのでベンチで様子を観ている。
初球。
助川くんが大きく振りかぶって投げた直球はプロ顔負けのスピードとコントロールで球を取ったキャッチャーのミットが大きな音を立てた。
そのあまりの凄さに、観に来ていた周囲からは響めきが起きた。
2球目も伸びのあるストレートでストライク。
3球目と4球目は少し力んだのか、球はワンバウンドして外れた。
すると、助川くんが左手で右肘を押さえている。
その表情は悲痛に満ちている。
心配した内野手がマウンドに駆け寄る。
彼は大丈夫と言って再びロジンを手に持った。
2ボール2ストライクからの5球目。
投げた球はバッターの手前で横に大きくスライドしたがボールの判定。
3ボール2ストライクとなった6球目。
ストレートを投げるも竜胆くんがバットに当ててファール。
7球目もファール。
そして8球目。
真ん中に来た球を竜胆くんがフルスイングする。
当たったと思ったがそのままボールは真下にストンと落ちた。
空振り三振しアウトを取った。
チーム全員がガッツポーズをした後、ベンチの前に整列し、帽子を取って挨拶をする。
「ありがとうございましたー!」
すると、私の方に向かって再度お辞儀をした助川くんはそのままゆっくりと消えていった。
「彼のピッチング凄かったっす。最後はホームラン狙ったっすけどかすりもしませんでしたよ」
悔しそうな表情の竜胆くんだったが、願いの叶った助川くんは無事浄化された。
しかし、私の中に潜んでいた贖罪の念が顔を出した。