「入るよ、豊川」

「‥‥‥はい」


久しぶりに見た上司は、しょぼくれていた。

どーせパチンコに負けたんだろ。


「なぁ、会社戻って来いよ」

「無理」

「なんでだよ。みんな待ってるから」


あたしは感情を抑え込んでいる。

沸々と湧き出てくるいらだち。

でもそこにはお兄ちゃんがいるしな‥‥‥。


「何がしたいんですか?あたしはもう戻りません。あそこはあたしの居場所はないです」

「なんでだよ‥‥‥」

「機嫌が悪そうですね。競馬負けました?」

「なんでそんなにかたくななんだよ。いい加減気づけよ、このままじゃ俺の立ち位置が悪いんだよ!!」


本音出ました。

やっぱりな。

上司に媚び売ってるこいつがここまで来るなんて、何かあるんだと思った。



「お前の処女だって話で俺が話をしただけでなんで会社辞めるんだよ!」

「それで?」


あたしは会社の専務から好かれていたこともあるので、どうせ言われたんだろう。

くだらない。


「恋人にセックスさせられない無価値な女は!一生自宅に引っ込んでろ!専務には俺からうまくいっておくからな!!!」


プチン。

頭のどこかが切れた音がした。