男なんて嫌いだ。

自分の都合の良い女の尻追っかけて、男は気持ちわるい!!

でも‥‥‥あたしの中でお兄ちゃんは別だった。

あの上司とのキスとか思い出しても吐き気しかしないのに、

お兄ちゃんとのキスは、あの感覚も、あの空気感も、重なった肌のぬくもりには吐き気なんかない。


(お兄ちゃんかー‥‥‥かっこいいんだろうな。)



しばらくその盛り上がっている雰囲気を聴いていた。

でもあたしが聴き始めて少しすると、電話が鳴った。

すぐに出たらしくて、コール音はすぐに終わる。

電話が終わったらしい頃に、あたしの部屋にお母さんが来た。


「ねぇ、姫乃」

「‥‥‥」

「あんたの元カレはさ、あんたがまだ好きみたいだよ」

「は!?」


想定外過ぎる話であたしは思わず答えてしまった。


「今電話があったのよ。会社に戻っておいでって。小林さんが呼んでるんだよ?」

「それはない」

「今近くに来てるみたいだよ?」


吐き気しかない。