「ひーーめーー!起きなさいよ姫乃!!!」
「‥‥‥うるさい‥‥」
あたしは豊川姫乃。
成人を迎えて2年目のあたしは、今はまだ田舎の実家に居候している。
特に働いてはいない。
ただ、体調を崩したから少し泊っているだけ。
「おはよーお母さん」
「おはよう。ったく‥‥‥何度起こせば起きんだや(起きるの)。そったら子に育てた覚えないど(覚えてない)」
「父さんいないからお母さんの背中見て育ちました。」
「っとに口ばっかり達者でな(達者だな)!」
「はいはい‥‥‥お腹減った」
「あ、んだ(そうだ)。隣に住んでた尋哉くんが来るらしいで」
「‥‥‥え‥‥‥」
あたしは耳を疑った。
え、お兄ちゃんが来る?
やばい。
こんな姿、お兄ちゃんに見せられない!!
「あー!!あたしお腹痛い!!あっやばーい!!部屋にいるね!!」
バタバタと慌ててあたしは部屋にこもり鍵をかけた。
お母さん‥‥‥変な気をおこさなきゃいいけど。
昔からお兄ちゃん相手になるとしゃしゃり出て来てろくなことがない。