【 3月21日 賃貸マンションの一室 】
最近彼氏は家に来ないし、チャットでも話してくれない。つまらない。高校時代の友達に声をかけても忙しいからと断られてばかりだ。すぐに既読をつけてくれる仲良しグルの3人も、返事がない。奈々も智美も茉莉もどうしたんだろう。
そう、とうとうチャットグループの既読がつかなくなってしまったのだ。最初は奈々、次に智美、最後に茉莉の順で減っていった。皆の身に何が起きたかは分からない。でも、私にも何か危険なことが起きるかもしれない。
誰かの恨みの矛先が皆に向かっているのは確かだ。でも、思い当たる事が全く無い……。
「誰か……助けて……」
誰もいない部屋での独り言は虚しく消えていった。
【 23日 同場所 】
今日は久しぶりに彼氏の光樹が家に来てくれた。本当に久しぶりだ。 夜も遅かったというのもあって、光樹は泊まってくれた。
「最近、来れなくて本当にごめん。仕事の赴任先が県外だったから、帰ってくるのに時間かかっちゃったんだ」
「いいよ、仕事なら仕方ないよ」
「てかお前また家出してるのか?良くないぞ、親を心配させるのは」
「いや、だってお父さんうるさいんだもん。それに私もう20歳過ぎてるし、子供じゃないから」
「そっか、そういう感じなんだな。そういえばさ……美津留って茉莉と奈々の二人と仲良かっただろ?」
突然光樹の口から意外な名前が出てきたので驚いた。どうして今その名前が出てくるのだろう?
「そうだったけどなんで今なの?」
「実はな、帰ってくる時にこんなニュース見たんだよ」
そう言うとスマホで何かを調べる。記事を見つけたのか、表情が曇る。
「そうそう、これもんよ」
見せてきた画面に写っていたのは、ある事件のニュース記事だった。
『――4日未明、宵ノ内市黎明町の曙公園で大学生の朝霧奈々さん(30)が首を吊った状態で発見。動機は不明』
「な……何これ……」
驚きのあまり声がうまく出ない。死んだ……?奈々が……?信じられない、自殺するような性格じゃなかったのに。
「後も一つ、追い討ちかけるようで悪いけど。一応これも知っておいてくれ、今から読み上げる」
もう1個あるの?やっぱり、あの時の予感は当たっていたのね……。
「『行方不明だった昼仲茉莉さん(31)の遺体 家に届けられる』って。とにかくだ、危ない奴は近くにいるかもしれないからな。出かける時は俺に伝えてくれ、一緒に行こう。その方が安心だろ?」
そう言って光樹は私の頭を撫でてくれた。だけど、とてもじゃないけど安心できない。二人、特に茉莉があんな悲惨な殺され方をしている。光樹がついていても大丈夫じゃない気がする……。
「ねぇ、光樹。光樹って武術とかそういったのに心得とかあるの?」
「なんだ、突然。もしかして俺が黒帯の所有者だっての忘れたのか?」
光樹が少し呆れたように言う。
「あ!そうだった、それに警官だもんね。じゃあ、大丈夫か」
一夜が明けて光樹は帰っていった。でも、私は一睡も出来なかった。
【 24日 某場所 】
「いいか、お前ら。黎明町に怪しいヤツが居ないか調べて、わかり次第俺に伝えろ。命令だ」
「了解です、清水さん!」
美津留には言えてなかった、まぁでもいいか。俺は警官じゃねぇ、追われる側の人間なんだ。……約束は守ってやるさ、この『雷威鴉』の名に賭けて。
最近彼氏は家に来ないし、チャットでも話してくれない。つまらない。高校時代の友達に声をかけても忙しいからと断られてばかりだ。すぐに既読をつけてくれる仲良しグルの3人も、返事がない。奈々も智美も茉莉もどうしたんだろう。
そう、とうとうチャットグループの既読がつかなくなってしまったのだ。最初は奈々、次に智美、最後に茉莉の順で減っていった。皆の身に何が起きたかは分からない。でも、私にも何か危険なことが起きるかもしれない。
誰かの恨みの矛先が皆に向かっているのは確かだ。でも、思い当たる事が全く無い……。
「誰か……助けて……」
誰もいない部屋での独り言は虚しく消えていった。
【 23日 同場所 】
今日は久しぶりに彼氏の光樹が家に来てくれた。本当に久しぶりだ。 夜も遅かったというのもあって、光樹は泊まってくれた。
「最近、来れなくて本当にごめん。仕事の赴任先が県外だったから、帰ってくるのに時間かかっちゃったんだ」
「いいよ、仕事なら仕方ないよ」
「てかお前また家出してるのか?良くないぞ、親を心配させるのは」
「いや、だってお父さんうるさいんだもん。それに私もう20歳過ぎてるし、子供じゃないから」
「そっか、そういう感じなんだな。そういえばさ……美津留って茉莉と奈々の二人と仲良かっただろ?」
突然光樹の口から意外な名前が出てきたので驚いた。どうして今その名前が出てくるのだろう?
「そうだったけどなんで今なの?」
「実はな、帰ってくる時にこんなニュース見たんだよ」
そう言うとスマホで何かを調べる。記事を見つけたのか、表情が曇る。
「そうそう、これもんよ」
見せてきた画面に写っていたのは、ある事件のニュース記事だった。
『――4日未明、宵ノ内市黎明町の曙公園で大学生の朝霧奈々さん(30)が首を吊った状態で発見。動機は不明』
「な……何これ……」
驚きのあまり声がうまく出ない。死んだ……?奈々が……?信じられない、自殺するような性格じゃなかったのに。
「後も一つ、追い討ちかけるようで悪いけど。一応これも知っておいてくれ、今から読み上げる」
もう1個あるの?やっぱり、あの時の予感は当たっていたのね……。
「『行方不明だった昼仲茉莉さん(31)の遺体 家に届けられる』って。とにかくだ、危ない奴は近くにいるかもしれないからな。出かける時は俺に伝えてくれ、一緒に行こう。その方が安心だろ?」
そう言って光樹は私の頭を撫でてくれた。だけど、とてもじゃないけど安心できない。二人、特に茉莉があんな悲惨な殺され方をしている。光樹がついていても大丈夫じゃない気がする……。
「ねぇ、光樹。光樹って武術とかそういったのに心得とかあるの?」
「なんだ、突然。もしかして俺が黒帯の所有者だっての忘れたのか?」
光樹が少し呆れたように言う。
「あ!そうだった、それに警官だもんね。じゃあ、大丈夫か」
一夜が明けて光樹は帰っていった。でも、私は一睡も出来なかった。
【 24日 某場所 】
「いいか、お前ら。黎明町に怪しいヤツが居ないか調べて、わかり次第俺に伝えろ。命令だ」
「了解です、清水さん!」
美津留には言えてなかった、まぁでもいいか。俺は警官じゃねぇ、追われる側の人間なんだ。……約束は守ってやるさ、この『雷威鴉』の名に賭けて。