【 あるチャットグループ 】
智美、奈々、茉莉、美津留の四人のチャット内容。
茉莉「ねぇねぇ、同窓会のお知らせ来たんだけど皆行くー?」
奈々「行くよー♪せっかく高校の皆と会えるんだし」
美津留「私も行くかな、彼氏連れて!」
奈々「彼氏いるのかー。羨ましいぞーコンニャロ」
智美「奈々、もしかしてまだ彼氏いないの?」
奈々「いる訳ないじゃんー?だから羨ましいの」
智美「そうなんだ……」
茉莉「お二人さん絡むなら個人でやりなされ。で、同窓会の場所と日にちなんだけど」
智美「あはは、ごめんごめん。それで、日程は決まってるの?」
茉莉「来週の土曜日で曙旅館で開催されるみたい。ちな、私と美津留はOKだよ」
奈々「私いけるよ!」
智美「私も行けるよー!」
茉莉「よし、じゃあ。来週の17時に曙旅館集合だね」
智美「おっけー!」
美津留「りょうかいっ!」
奈々「OK!」
【 4月16日 ある警官の自宅 】
ピロンと通知が来たような気がした。何だろう?通知を確認するのは良いんだけど……。
「ちょっとお兄ちゃん!ギター弾くの一回止めて」
「えー、何でだよ」
こういう通知を見るのは静かな場所がいい。お兄ちゃんのギターは部屋を貫通して音が反響するものだから、静かな場所とはかけ離れている。
「同窓会のお知らせ来たから」
「えっ、本当?よっしゃー!見てもいいか?」
「全然いいけど?」
「じゃ、見させてもらおう。ふむふむ」
何やらお兄ちゃんは、楽しそうな様子でニヤケている。友だちに会えるのがそんなに嬉しいんだなぁ。
「余興があるみたいだし、お兄ちゃんのエレキギター持ってったらどうかな?今度はきっと楽しめるよ」
「ナイスアイデアだな、そうするよ。でも、今度って……まるで一度体験したみたいな物言いじゃないか」
「あ」
やってしまった。うっかり口が滑った。慌てず冷静を装って、それっぽい嘘をつく。
「いやー、そんな訳ないじゃん?ほら、中学の時の同窓会にできなかったじゃない」
「んー、そうだったな。じゃ今度こそ余興に向けて頑張るわ」
お兄ちゃんはサムズアップをすると、またギターを弾き始めた。
「お兄ちゃんお兄ちゃん、弾くのはいいんだけどさ。ヘッドホンしてね」
「あ、音漏れてたのか。ごめんごめん、今日から気をつけるよ」
【 同日 ある女性弁護士の自宅 】
ガチャリと鍵が開けられる音がして、奏が帰ってきた。そう、卒業式の時の約束を私たちは叶えたんだ。
「ただいまー、美琴」
「あ、おかえり!どうだった、今回?」
「司法試験、合格したよ!」
とうとう奏は、四回も滑った司法試験に合格した。長かった、とっても。喜びで頬が緩むのを感じる。
「……!やった!おめでとー」
「ありがとな。これで、やっとスタートラインに立てたよ。これからが大変だけど、絶対諦めないから」
「応援してるよ!あ、そうだ。話変わるんだけどさ……」
「なんだい?」
「来週の土曜日に曙旅館で同窓会やるんだって」
「同窓会か。懐かしいなぁ」
「奏も行く?」
「せっかくだし行こうかな、東兄妹に会えるんなら」
あの日以来、奏は東兄妹に並々ならぬ思いを抱いている。私もそうだけど。もちろん友情なんかではない、人生を救ってくれた恩人としての感謝を。
「じゃあ、行こう!」
「そうだな」
窓辺のシオンが優しい春の風に揺れていた。
智美、奈々、茉莉、美津留の四人のチャット内容。
茉莉「ねぇねぇ、同窓会のお知らせ来たんだけど皆行くー?」
奈々「行くよー♪せっかく高校の皆と会えるんだし」
美津留「私も行くかな、彼氏連れて!」
奈々「彼氏いるのかー。羨ましいぞーコンニャロ」
智美「奈々、もしかしてまだ彼氏いないの?」
奈々「いる訳ないじゃんー?だから羨ましいの」
智美「そうなんだ……」
茉莉「お二人さん絡むなら個人でやりなされ。で、同窓会の場所と日にちなんだけど」
智美「あはは、ごめんごめん。それで、日程は決まってるの?」
茉莉「来週の土曜日で曙旅館で開催されるみたい。ちな、私と美津留はOKだよ」
奈々「私いけるよ!」
智美「私も行けるよー!」
茉莉「よし、じゃあ。来週の17時に曙旅館集合だね」
智美「おっけー!」
美津留「りょうかいっ!」
奈々「OK!」
【 4月16日 ある警官の自宅 】
ピロンと通知が来たような気がした。何だろう?通知を確認するのは良いんだけど……。
「ちょっとお兄ちゃん!ギター弾くの一回止めて」
「えー、何でだよ」
こういう通知を見るのは静かな場所がいい。お兄ちゃんのギターは部屋を貫通して音が反響するものだから、静かな場所とはかけ離れている。
「同窓会のお知らせ来たから」
「えっ、本当?よっしゃー!見てもいいか?」
「全然いいけど?」
「じゃ、見させてもらおう。ふむふむ」
何やらお兄ちゃんは、楽しそうな様子でニヤケている。友だちに会えるのがそんなに嬉しいんだなぁ。
「余興があるみたいだし、お兄ちゃんのエレキギター持ってったらどうかな?今度はきっと楽しめるよ」
「ナイスアイデアだな、そうするよ。でも、今度って……まるで一度体験したみたいな物言いじゃないか」
「あ」
やってしまった。うっかり口が滑った。慌てず冷静を装って、それっぽい嘘をつく。
「いやー、そんな訳ないじゃん?ほら、中学の時の同窓会にできなかったじゃない」
「んー、そうだったな。じゃ今度こそ余興に向けて頑張るわ」
お兄ちゃんはサムズアップをすると、またギターを弾き始めた。
「お兄ちゃんお兄ちゃん、弾くのはいいんだけどさ。ヘッドホンしてね」
「あ、音漏れてたのか。ごめんごめん、今日から気をつけるよ」
【 同日 ある女性弁護士の自宅 】
ガチャリと鍵が開けられる音がして、奏が帰ってきた。そう、卒業式の時の約束を私たちは叶えたんだ。
「ただいまー、美琴」
「あ、おかえり!どうだった、今回?」
「司法試験、合格したよ!」
とうとう奏は、四回も滑った司法試験に合格した。長かった、とっても。喜びで頬が緩むのを感じる。
「……!やった!おめでとー」
「ありがとな。これで、やっとスタートラインに立てたよ。これからが大変だけど、絶対諦めないから」
「応援してるよ!あ、そうだ。話変わるんだけどさ……」
「なんだい?」
「来週の土曜日に曙旅館で同窓会やるんだって」
「同窓会か。懐かしいなぁ」
「奏も行く?」
「せっかくだし行こうかな、東兄妹に会えるんなら」
あの日以来、奏は東兄妹に並々ならぬ思いを抱いている。私もそうだけど。もちろん友情なんかではない、人生を救ってくれた恩人としての感謝を。
「じゃあ、行こう!」
「そうだな」
窓辺のシオンが優しい春の風に揺れていた。