ある警官の事件報告
 そうね、どこから話そうかしら。……まずは事件の始まりからでも話しましょうか。私が黎明警察署に勤めていた時のことよ。


 【 ✕✕7年 4月8日 黎明警察署 】
 私は、この街――黎明町――で連続して発生している殺人事件を追っている捜査一課の刑事だ。事件が起きているのが常に月曜日の為、犯人は『月曜日の殺人鬼』と私たちの間で呼ばれている。
「警部、これまでの事件内容まとめました」
「おお、ありがとう。(あずま)巡査部長。ところで」
「何ですか?」
「お兄さんの容態はどうかい?」
「ちょうど昨日意識が快復してから順調そうです」
「そうか、なら良かったよ。東、お前も気をつけてくれよ」
「ありがとうございます、飯塚警部」
警部との会話を早々に済ませて早速今日の業務に取り掛かる。
 改めて事件内容を確認する。
犯人による被害者は4人を超えており、そのどれもが凄惨な状態で発見されている。私は兄の志を継ぎこの事件を追うことになった。
 この凄惨な事件の始まりは3週間前の3月18日に遡る。3月18日、行方不明となっていた昼仲 茉莉(ひるなか まつり)さんの遺体が昼仲家に届いた。茉莉さんの母親がここに駆け込んできたことで事件が発覚した。更にその1週間後、新タ 美津留(にった みつる)さんのバラバラ死体と彼氏と思われる清水 光樹(しみず こうき)さんの遺体が黎明町の袋小路で発見された。そして先日、私の兄東 嶺二(れいじ)が路上で刺し殺されかけた。
犯人の目的がなんなのかが分からない、分からないが一つだけ確かな事がある。被害者はどれも黎明高校の49期生なのだ。とすれば兄が狙われたのも合点が行く。いずれは私も狙われるかもしれないが、その時こそが犯人を捕まえるチャンスなのだ。