【 11月15日 昼休みの屋上 】
「ねぇ、奏ちゃん。その……これからちょっとヘンな事言うけど、だいじょぶかな?」
美琴が、少し頬を赤らめながらそう言う。……なんかいつもと様子が違うような?
「何だ?何も気にしないから、言ってみろ」
「……その、わ、私!奏ちゃんの事が、す、好きなの!!」
突然のその発言に、私は飲みかけたお茶で盛大にむせ込んだ。
「ゲホッゲホッ、は?私の事が、好き、だと?」
驚きと疑問で頭がいっぱいになったが、平然を装って答える。咳き込んだせいで、喉がジンワリと痛い。
「あ、そ、そうなんだけど……。奏ちゃん、大丈夫!?」
「あぁ、大丈夫。それで……何かの罰ゲームじゃなくて、お前は純粋に私のことが好きなのか?」
顔が真っ赤にした美琴がこくこくと首を縦に振る。
「そうか・・・」
まさかとは思っていたが、美琴が私のことを好きだったとは。まだ信じられない、しかし私で良かったんだろうか。普通の”愛”を知らない私が、君の傍にいてもいいんだろうか。
「奏ちゃんが嫌なら、今の事は忘れちゃって、いいから」
「い、嫌なわけないだろ。てか何も変じゃないし」
「え……?」
「好きなものを好きと言って何が悪いんだ、好きなものが周りと違うだけで思う気持ちは本物なんだろ?」
「……うん、本当だよ」
「ならいいんだ。……こんな私でいいなら」
そう言いながらも、顔が熱くなるのがよく分かった。薄々気づいていたんだ、美琴が私に対して普通の友達には向けないであろう気持ちがある事に。
「いつか美琴に話さないといけない大事なことがあるけれど、その時はちゃんと受け止めてくれるかい?」
「もちろんだよ、奏ちゃん」
あぁ、この時私はどんな顔をしていたのだろう。嬉しくて泣きそうになっていた?それとも不安そうな顔をしていた? いや、今はどうでもいい。
私はそっと美琴を抱き寄せた。長い髪からふわりといい匂いがした。
「わ、奏ちゃん・・・?」
「私はもう1人じゃないんだな。私のことを好きと言ってくれる人がいる。こんな幸せを感じられるなんて思っていなかった」
「……私も受け入れてもらえるなんて思ってなかったよ。ありがとう奏ちゃん、ありがとう……!」
不器用な私でもいいのかい?君はずっと私のそばにいてくれるかい?美琴にとっての私もそうだといいなと思うけれど……。いつか君にはバレる時が来るんだろう、私もまた君のように"普通"では無いんだよ。