【 ◯✕63年 11月6日月曜日 6時30分 東家 】
 チュンチュンと鳴く雀の声とスマホのアラーム音で目を覚ました。て、あれ?戻ってる……?今何年なの?アラームを切るついでにスマホを確認した。スマホのカレンダーを見ると◯✕63年の11月6日だった。……本当に戻ってる!
「美香ー起きろー。朝だぞ」
懐かしいお兄ちゃんの声がした。ベットから降りる時に足の指をぶつけたけど、しっかりと痛かった。紛れもない現実だった。
着替えたりお弁当を作ったりの準備をしてから食卓で朝食を食べて、普段と変わらず学校に行った。
 8時半のチャイムとともに教室に着くと、何も無かったかのようにクラスメイトがいた。
「おはよぉ、美香」
夕凪が真っ先に声を掛ける。
「おはよう、夕凪」
「いつも朝早くに羨ましいぞー?」
「家が近いからね。でも、近いのも近いので嫌なものだって」
「学校から遠い民は涙目ですよーだ」
「朝から不貞腐れてちゃ良い事ないって、朝の準備するからまたね」
「じゃまたね、授業分かんないとこあったら後で行くから」
毎日していたような夕凪との会話を済ませ席に着く。校歌が流れたくらいに奏が教室に入ってきた。少し汗をかいているのか癖のあるボブショートが、肌に張り付いている。まだ髪は黒いままだった。
「うわっ、って奏ここなの?」
「え?結構前からそうだけど……てか、人を見るなり失礼だな、美香」
席が近いの忘れてた……。返事もそこそこに奏は私の隣の席に座った。奏はスカートではなくスラックスを履いている。自転車の時はスラックスが良いという理由らしい。……プリーツ直さなくていいの、ちょっと良いかも?
「うわー、遅刻遅刻!」
奏が来てから5分くらい経って、ようやく美琴が来た。長い茶髪が茶色い縁のメガネとよく似合っている。ブレザーの下にはいつもベストを着ているみたいだけど、今日に限ってはカーディガンだった。寒くなったのかもしれない。
美琴が席に着くと程なくしてチャイムが鳴った。
「はい、連絡事項は終わりです。一時間目の準備してねー」
先生の連絡も程々にホームルームが終わり授業が始まる。慌ただしい1週間が始まりそうだ……。