【 4月21日未明 黎明警察署取調室にて 】
 曙旅館付近を夜間パトロール中の警官が爆発音を聞いた後、しばらくして黎明警察署に血塗れの女性が訪れた。その女性は自分が曙旅館の事件を起こしたと言っていたため、取調室にて警官は事情聴取を行った。

――以下、犯人の自首内容である――

 名前は神代 奏(かみしろ かなで)で、◯✕20年4月19日生まれです。
 えぇ、曙旅館の件は私がやりました。それ以外の件ですよ。そうですね、あなたたちの間で呼ばれていた『月曜日の殺人鬼事件』は全部私です。
まず1人目、朝霧奈々(あさぎりなな)。曙公園で発見された首吊りで亡くなった身元不明の女性の遺体。あれ、私です。バレると思いましたけど案外平気でしたね。
2人目、雨谷智美(あまやともみ)。何故か死体が上がらなかったですけれどもね。……見つからずに腐敗したのかもなぁ。まぁいいや、でアイツは出会い頭に腹をバッサリですよ。ついでに腹の子も出して棄てましたよ。残虐?仕方ないですよ、私はもう普通じゃないんでね。道理がどうとか人の心が無いとか言われても。
……3人目は、昼仲末莉(ひるなかまつり)。確か行方不明届が出されていました人ですよね?まぁ、そのまんまです。拉致してから、少しずつ手足を切り落として最後には宅急便のフリして家族に送りつけました。痛い痛いって叫んでましたよ、フフッ。
え?もう話すのを止めろ?……これを記録するのがあなたたちの仕事ではなくて?止めませんよ、全てを話すまでは。
4人目は、新タ美津留(にったみつる)。ええっと、確か。最後はバラバラにして発見されたやつでしたっけ?ついでに彼氏っぽい男も殺しましたよ。えぇ、それくらいですよ……もう語ることはありません。
と思いましたが、一つ忘れてました。十年前に起きた未解決だった『如月一家殺害事件』も私ですね。いやー、防犯カメラだとか近隣住民とかに見つからないか不安で仕方なかったですよ。でも、悪いのは彼女をあそこまで追い込んだ家族でしょう?
 何で自首したかですか。やっとすべてを、彼女からの遺言(約束)を終わらせたからですよ。
まだあるんですか……(中略)
えぇ、以上です。

――――
 自首後、神代容疑者の身柄は検察へと引き渡された。かくして、一夜にして世間を騒がせていた『月曜日の殺人鬼事件』の犯人は逮捕されたのであった。
翌々日、報道機関らは『月曜日の殺人鬼事件』と『黎明同窓会殺人事件』を総称して事件が発生した市名である宵ノ内市から取り『宵ノ内事件』とした。単独犯が起こした『宵ノ内事件』は死傷者38人という戦後史上最悪の大量殺人事件として負の歴史を刻むことになった。