僕は死期が近い。もっと正確な言い方をすれば、いつ死ぬか分からない。
《血管成長不全症》
それは身体の成長に血管が追い付かず細くなり高血圧状態になる。その結果、圧力に耐え切れず血管がやぶれてしまう病気だ。
僕は彼女が大好きだ。彼女もまた僕を好きでいてくれている。
もし僕が死んだときに悲しませないように今日ちゃんとお別れしたい。
そんなことを考えながら、彼女の食べたいというものを全部買い、花火大会の会場へと向かう。
「ここが一番きれいに見えるんだよね」
「人全然いないね」
「2人以外要る?」
「2人だけでいい」
2人だけの時間にしたい。それは同意見だ。
ベンチに座り少しすると花火が打ちあがり始めた。
しばらくの間、僕は魅入っていた。
ふと彼女に目を向けると、彼女も同じだった。
視界に映る夜空にはたくさんの色を散らし、盛り上がりを見せていた。
「綺麗だね」
「うん」
「ねぇねぇ」
「ん、何?」
彼女はこちらを向く。
目を合わせる。
「おでこかほっぺか手の甲貸して」
「はい」
彼女は手の甲を差し出す。
「ちょっ何してんの?!」
そっと僕はキスをした。
「大好きだよ」
「あたしも大好きだよ」
薄暗くはっきりとはわからなかったが、彼女はきっと頬を赤くしていたことだろう。
こんなにいい人と別れるのはほんとにつらいな……。
ドーン、ドーン、ドーンと花火の音とともに鼓動も大きくなる。
もう何分か無言の時間が続いた。そろそろ告げなければ。
「あのさ――――」
《血管成長不全症》
それは身体の成長に血管が追い付かず細くなり高血圧状態になる。その結果、圧力に耐え切れず血管がやぶれてしまう病気だ。
僕は彼女が大好きだ。彼女もまた僕を好きでいてくれている。
もし僕が死んだときに悲しませないように今日ちゃんとお別れしたい。
そんなことを考えながら、彼女の食べたいというものを全部買い、花火大会の会場へと向かう。
「ここが一番きれいに見えるんだよね」
「人全然いないね」
「2人以外要る?」
「2人だけでいい」
2人だけの時間にしたい。それは同意見だ。
ベンチに座り少しすると花火が打ちあがり始めた。
しばらくの間、僕は魅入っていた。
ふと彼女に目を向けると、彼女も同じだった。
視界に映る夜空にはたくさんの色を散らし、盛り上がりを見せていた。
「綺麗だね」
「うん」
「ねぇねぇ」
「ん、何?」
彼女はこちらを向く。
目を合わせる。
「おでこかほっぺか手の甲貸して」
「はい」
彼女は手の甲を差し出す。
「ちょっ何してんの?!」
そっと僕はキスをした。
「大好きだよ」
「あたしも大好きだよ」
薄暗くはっきりとはわからなかったが、彼女はきっと頬を赤くしていたことだろう。
こんなにいい人と別れるのはほんとにつらいな……。
ドーン、ドーン、ドーンと花火の音とともに鼓動も大きくなる。
もう何分か無言の時間が続いた。そろそろ告げなければ。
「あのさ――――」