俺は火と終焉を司る神。
特に名はなく他の者達からは赤と呼ばれている。
俺の役割はすでに死んでしまった星を消したり、戦争によって星が死にかけているくらい弱っている原因を終わらせたりするのが主な役割だ。
どの星も文明が一定以上育った後に戦争を行うと星への被害も非常に大きなものになってしまう事が多く、下手をすれば星を破壊する事が出来る兵器の開発すら行っていた星もあるくらいだ。
そんな星の文明を破壊し、次の世代に繋がらないように終焉を与える。
他の神々は星の文明を育む事を得意としていたり、ただ必要な現象として見守っている事が多い。
終焉を司る俺だけが様々な星の介錯を行い秩序を守っている。
そして他にも死者の魂が輪廻の輪に入れるよう魂の浄化を行ったり、世界の不浄な物を焼き払う事も役目だ。
そんなある日、俺は調和の神に呼び出された。
『赤。あなた少しの間休暇を取ったらどうです?』
休暇、休暇?
『休暇と言われてもな、休む時は休んでいるぞ??』
調和の神。
俺や他の神がのパワーバランスを管理している神であり、神々の中でも1番の苦労人。
俺のように淡々と役割を果たす神や、ただ傍観を決め込んでいる神、気分屋な神など様々な神の相手をしなければならない本当に大変な事をしている。
そんな調和の神から急に休暇を取るよう言われるとは何かあったのだろうか?
『何か問題が起きたのか?』
『いや、問題と言うほど大きなものではない。ただ……しばらく終焉を与える星がないのだ。知性の高い生物たちもかなり減少してしまったし、他の星はまだまだ発展途上で星を破壊するような兵器を開発できるほど文明が発展していない。なので大体4千年ほど赤が動く事態は発生しそうにないのだ。なので4千年ほど休暇はどうかと聞いてみた』
『いやしかし。調和の神よ、忘れてはいないか?俺には死んだ魂を浄化し、輪廻の輪に組み込ませる大切な役目がある。当然俺が実際に行っているのは浄化までで、転生に関しては他の神の担当だがその前の段階の俺が休むわけにはいかないだろう』
『その懸念は最もだ。しかし赤の娘や息子たちもだいぶ役割を果たしているではないか。特に長女の成長は目覚ましい物がある。赤同様に世界を終焉に導く事も可能なほどだ。それに他の神々からも気に入られているのだから、少しの間だけ休暇を取っても文句は言われないだろう』
『確かに子供達は成長した。しかし突発的に終焉を与えなけらばならない状況になったりもするではないか。それなのに俺だけ休むわけにはいかない。子供が役目を果たしているのに親である俺が役目を果たさない訳にはいかない』
『相変わらず身内には甘いな。いや、気に入ったい相手には、の方が正しいか。だが彼らももう十分大人と言えるだけの成長をしているだろう。少しまとまった休みを得たのだから少しは羽を伸ばしてこい』
『しかし……』
渋る俺に対して調和の神は半目になりながらさらに聞く。
『赤はいつ休みを得た?』
『休み?ちょくちょく休んでいる』
『それは一体どれくらいだ?』
『ざっと1日2日か?様々な魂が毎日神で浄化する必要があるのだからあまり大きな休みを取る訳にもいかない』
『短い!!あまりにも短すぎる!!他の神々は100年単位で休んでいる事も多いというのに、なんという休みの少なさ!!いい加減休め!!』
『だから休めば世界は異常を起こすぞ。死んだ魂がいつまでも浄化されず、地上に残り続ければ大混乱になる。死したものがいつまでも死なず、輪廻の輪に加わる事が出来ず苦しむ事になってしまう。それは見過ごせない。これはただの役割としてだけではなく、俺個人の意見としてもだ』
『なんだかんだでお前は真面目に役割を全うしている事は知っている。だからこそ終焉を迎えるべき星がない今まとまった休みを取ってほしいのだ。でないとずっと仕事をさせる嫌な奴扱いされる!!』
『いや、これが俺の役割だろ。それに何度も言うが毎日様々な生物が死ぬのだから休むわけにはいかない』
『だからその辺りは子供や天使達に任せればいいじゃないか。浄化だけなら彼らでも十分できるだろ』
『それでも何かあった時のためにな――』
『4千年くらいなら大丈夫だと思うけど……それじゃどれくらいなら心配せず休めるんだい?』
『……100年?』
『……心配だって言うならそれくらいにするか。100年間休んでくれ』
『しかし休むと言っても何をすればいい?』
『何って……そんな事を聞くくらい忙しくしてたっけ?』
『休む時はただ寝てた。だからそれ以外に何をして過ごせばいいのか分からない』
『…………これは本当に重症だ。そうだ、いっその事人間にでも転生してみるか?』
『転生?人間にか??』
『君は今まで人間の文明や生命を終焉に導くばかりで人間がどう暮らしているのか、どんな事をしているのか知らないだろ。それに人間の寿命だ、100年も経たずに死ぬ事の方が多い。休む期間としてはちょうどいいと思うが、どうかな?』
『…………なるほど、それならよさそうだ』
『それじゃ早速転生を始めよう。ほんの100年だから楽しむように』
こうして俺はまとまった休日を強制的に取らされ、しばらくの間人間として生きる事となった。
――
『ふう。これで赤も少しは休ませる事が出来た。破壊する星がないのだから休めばいいのに』
『調和の神!!大変です!!』
『どうしたの天使?』
『たった今複数の神より休暇申請が参りました!!』
『休暇申請?それくらいどうってことないよね』
『相手が大変なんです!!”時空の神””知識と探求の神”そして”星龍”まで炎と終焉の神を追って転生しました!!』
『……………………』
『どういたしましょう?』
『………………………………彼、もしかしてこうなる事を予想して休暇取らなかったのかも?』
特に名はなく他の者達からは赤と呼ばれている。
俺の役割はすでに死んでしまった星を消したり、戦争によって星が死にかけているくらい弱っている原因を終わらせたりするのが主な役割だ。
どの星も文明が一定以上育った後に戦争を行うと星への被害も非常に大きなものになってしまう事が多く、下手をすれば星を破壊する事が出来る兵器の開発すら行っていた星もあるくらいだ。
そんな星の文明を破壊し、次の世代に繋がらないように終焉を与える。
他の神々は星の文明を育む事を得意としていたり、ただ必要な現象として見守っている事が多い。
終焉を司る俺だけが様々な星の介錯を行い秩序を守っている。
そして他にも死者の魂が輪廻の輪に入れるよう魂の浄化を行ったり、世界の不浄な物を焼き払う事も役目だ。
そんなある日、俺は調和の神に呼び出された。
『赤。あなた少しの間休暇を取ったらどうです?』
休暇、休暇?
『休暇と言われてもな、休む時は休んでいるぞ??』
調和の神。
俺や他の神がのパワーバランスを管理している神であり、神々の中でも1番の苦労人。
俺のように淡々と役割を果たす神や、ただ傍観を決め込んでいる神、気分屋な神など様々な神の相手をしなければならない本当に大変な事をしている。
そんな調和の神から急に休暇を取るよう言われるとは何かあったのだろうか?
『何か問題が起きたのか?』
『いや、問題と言うほど大きなものではない。ただ……しばらく終焉を与える星がないのだ。知性の高い生物たちもかなり減少してしまったし、他の星はまだまだ発展途上で星を破壊するような兵器を開発できるほど文明が発展していない。なので大体4千年ほど赤が動く事態は発生しそうにないのだ。なので4千年ほど休暇はどうかと聞いてみた』
『いやしかし。調和の神よ、忘れてはいないか?俺には死んだ魂を浄化し、輪廻の輪に組み込ませる大切な役目がある。当然俺が実際に行っているのは浄化までで、転生に関しては他の神の担当だがその前の段階の俺が休むわけにはいかないだろう』
『その懸念は最もだ。しかし赤の娘や息子たちもだいぶ役割を果たしているではないか。特に長女の成長は目覚ましい物がある。赤同様に世界を終焉に導く事も可能なほどだ。それに他の神々からも気に入られているのだから、少しの間だけ休暇を取っても文句は言われないだろう』
『確かに子供達は成長した。しかし突発的に終焉を与えなけらばならない状況になったりもするではないか。それなのに俺だけ休むわけにはいかない。子供が役目を果たしているのに親である俺が役目を果たさない訳にはいかない』
『相変わらず身内には甘いな。いや、気に入ったい相手には、の方が正しいか。だが彼らももう十分大人と言えるだけの成長をしているだろう。少しまとまった休みを得たのだから少しは羽を伸ばしてこい』
『しかし……』
渋る俺に対して調和の神は半目になりながらさらに聞く。
『赤はいつ休みを得た?』
『休み?ちょくちょく休んでいる』
『それは一体どれくらいだ?』
『ざっと1日2日か?様々な魂が毎日神で浄化する必要があるのだからあまり大きな休みを取る訳にもいかない』
『短い!!あまりにも短すぎる!!他の神々は100年単位で休んでいる事も多いというのに、なんという休みの少なさ!!いい加減休め!!』
『だから休めば世界は異常を起こすぞ。死んだ魂がいつまでも浄化されず、地上に残り続ければ大混乱になる。死したものがいつまでも死なず、輪廻の輪に加わる事が出来ず苦しむ事になってしまう。それは見過ごせない。これはただの役割としてだけではなく、俺個人の意見としてもだ』
『なんだかんだでお前は真面目に役割を全うしている事は知っている。だからこそ終焉を迎えるべき星がない今まとまった休みを取ってほしいのだ。でないとずっと仕事をさせる嫌な奴扱いされる!!』
『いや、これが俺の役割だろ。それに何度も言うが毎日様々な生物が死ぬのだから休むわけにはいかない』
『だからその辺りは子供や天使達に任せればいいじゃないか。浄化だけなら彼らでも十分できるだろ』
『それでも何かあった時のためにな――』
『4千年くらいなら大丈夫だと思うけど……それじゃどれくらいなら心配せず休めるんだい?』
『……100年?』
『……心配だって言うならそれくらいにするか。100年間休んでくれ』
『しかし休むと言っても何をすればいい?』
『何って……そんな事を聞くくらい忙しくしてたっけ?』
『休む時はただ寝てた。だからそれ以外に何をして過ごせばいいのか分からない』
『…………これは本当に重症だ。そうだ、いっその事人間にでも転生してみるか?』
『転生?人間にか??』
『君は今まで人間の文明や生命を終焉に導くばかりで人間がどう暮らしているのか、どんな事をしているのか知らないだろ。それに人間の寿命だ、100年も経たずに死ぬ事の方が多い。休む期間としてはちょうどいいと思うが、どうかな?』
『…………なるほど、それならよさそうだ』
『それじゃ早速転生を始めよう。ほんの100年だから楽しむように』
こうして俺はまとまった休日を強制的に取らされ、しばらくの間人間として生きる事となった。
――
『ふう。これで赤も少しは休ませる事が出来た。破壊する星がないのだから休めばいいのに』
『調和の神!!大変です!!』
『どうしたの天使?』
『たった今複数の神より休暇申請が参りました!!』
『休暇申請?それくらいどうってことないよね』
『相手が大変なんです!!”時空の神””知識と探求の神”そして”星龍”まで炎と終焉の神を追って転生しました!!』
『……………………』
『どういたしましょう?』
『………………………………彼、もしかしてこうなる事を予想して休暇取らなかったのかも?』