商店街の路地の一角にあるにしてはオシャレなアパレルショップに彼女は入って行く。
「結衣ちゃん」
試着室の前に立っている女性に声をかけると、その女性は驚いた様子でこちらに近づいてきた。
「心ちゃん?あれ、学校は?」
当たり前の質問にも彼女は同じていない。
「抜け出してきた!」
「ええ!?停学になったりするんじゃないの?
お姉ちゃんに連絡にした方がいいよ。」
女性は彼女のことをかなり心配しているようだ。
「お母さんには言わないで。あと、学校にも連絡しないでね。」
〈でも・・・〉と困った様子で頬に手を当てて考え込んでいるようだ。
「好きなことを出来る内にしておきたいの。
時間がないのは、結衣ちゃんも知っているでしょ。」
そう言うと、言葉を失くしたように静かに「分かった。」と呟いた。
「ということで、こちら同じクラスの黒木くん。」
突然だなと思いながらも頭を下げた。
「こちら、私のお母さんの妹で結衣ちゃん。結衣おばさんって言うと怒られるから気をつけて。」
『初めまして。』
「初めまして。心ちゃんと仲良くしてくれてありがとうね。
あと、心ちゃん初対面の人に変なこと言わないでよ。」
「ええ〜、だって本当のことでしょ?
でも、結衣ちゃんといると姉妹に良く間違えられるよね。
結衣ちゃんが高校生の頃、お母さんと一緒に幼稚園のお迎えに来てくれたよね。」
『ああ、それ最初僕も思った。』
〘やっぱり?〙なんて言いながら笑っている。
「結衣ちゃん、私と黒木くんに似合う服を選んで欲しいの。そのまま着ていくから。」
服を買うほどの所持金を持ち合わせていないが、どうする気なのだろうか。
「そういうことね!任せて!今からどこ行くの?
動きやすい方が、良い?それとも、ワンピースにする?」
何着か、手に取って彼女に当てると「これ、可愛い!ちょっと着替えてくるね!」と言って足早に試着室に行ってしまった。
〈黒木くんはどうしようかな。〉とされるがままに付いていき、普段着たこともないオシャレな服を当てられる。
「黒木くんの服も決まった?」
着替え終わった彼女が僕の所にやってきた。結衣さんは彼女の姿を見て〈可愛い!似合う〉と嬉しそうに微笑んだ。
「これと、これでどう?帽子も入れると、カジュアルになって良いかも。」
「さすが、結衣ちゃん!はい、早く着替えて来て。」
ハンガーを押し付けられ、急かされるまま着替えを済ませると、〘いいじゃん!〙〈垢抜けた。〉と二人で言い合って、僕をジロジロ見てくるので、恥ずかしくて今すぐこの場から逃げ出したい気持ちでいっぱいになっていた。
「それ、あげるよ。」
『え、いやさすがに売り物を頂く訳には。』
「いいのよ、この店私が経営しているから大丈夫。それに、私があげたいからあげるの。それで良いじゃない。」
僕が返答するよりも前に彼女が「良いんだよ!」と答えた。
『お前は違うだろ。』
「結衣ちゃんの物は私の物でもあるんです!だから、一緒にいる黒木くんの物でもある訳、分かる?」
『なんて勝手な理屈。』
僕が呆れた顔で、彼女を見ていると結衣さんは微笑ましそうに〘二人、良いコンビね!楽しそう。〙と声をかけられ、何がどう見えてそう思ったのだろう。と不思議に思いつつも、良くしてもらったので、お礼を告げた。
「じゃあ、行ってきます♪」
勢い良く店を飛び出していく彼女に、ため息を吐きながらも結衣さんにお辞儀して後を追いかける。
「結衣ちゃん」
試着室の前に立っている女性に声をかけると、その女性は驚いた様子でこちらに近づいてきた。
「心ちゃん?あれ、学校は?」
当たり前の質問にも彼女は同じていない。
「抜け出してきた!」
「ええ!?停学になったりするんじゃないの?
お姉ちゃんに連絡にした方がいいよ。」
女性は彼女のことをかなり心配しているようだ。
「お母さんには言わないで。あと、学校にも連絡しないでね。」
〈でも・・・〉と困った様子で頬に手を当てて考え込んでいるようだ。
「好きなことを出来る内にしておきたいの。
時間がないのは、結衣ちゃんも知っているでしょ。」
そう言うと、言葉を失くしたように静かに「分かった。」と呟いた。
「ということで、こちら同じクラスの黒木くん。」
突然だなと思いながらも頭を下げた。
「こちら、私のお母さんの妹で結衣ちゃん。結衣おばさんって言うと怒られるから気をつけて。」
『初めまして。』
「初めまして。心ちゃんと仲良くしてくれてありがとうね。
あと、心ちゃん初対面の人に変なこと言わないでよ。」
「ええ〜、だって本当のことでしょ?
でも、結衣ちゃんといると姉妹に良く間違えられるよね。
結衣ちゃんが高校生の頃、お母さんと一緒に幼稚園のお迎えに来てくれたよね。」
『ああ、それ最初僕も思った。』
〘やっぱり?〙なんて言いながら笑っている。
「結衣ちゃん、私と黒木くんに似合う服を選んで欲しいの。そのまま着ていくから。」
服を買うほどの所持金を持ち合わせていないが、どうする気なのだろうか。
「そういうことね!任せて!今からどこ行くの?
動きやすい方が、良い?それとも、ワンピースにする?」
何着か、手に取って彼女に当てると「これ、可愛い!ちょっと着替えてくるね!」と言って足早に試着室に行ってしまった。
〈黒木くんはどうしようかな。〉とされるがままに付いていき、普段着たこともないオシャレな服を当てられる。
「黒木くんの服も決まった?」
着替え終わった彼女が僕の所にやってきた。結衣さんは彼女の姿を見て〈可愛い!似合う〉と嬉しそうに微笑んだ。
「これと、これでどう?帽子も入れると、カジュアルになって良いかも。」
「さすが、結衣ちゃん!はい、早く着替えて来て。」
ハンガーを押し付けられ、急かされるまま着替えを済ませると、〘いいじゃん!〙〈垢抜けた。〉と二人で言い合って、僕をジロジロ見てくるので、恥ずかしくて今すぐこの場から逃げ出したい気持ちでいっぱいになっていた。
「それ、あげるよ。」
『え、いやさすがに売り物を頂く訳には。』
「いいのよ、この店私が経営しているから大丈夫。それに、私があげたいからあげるの。それで良いじゃない。」
僕が返答するよりも前に彼女が「良いんだよ!」と答えた。
『お前は違うだろ。』
「結衣ちゃんの物は私の物でもあるんです!だから、一緒にいる黒木くんの物でもある訳、分かる?」
『なんて勝手な理屈。』
僕が呆れた顔で、彼女を見ていると結衣さんは微笑ましそうに〘二人、良いコンビね!楽しそう。〙と声をかけられ、何がどう見えてそう思ったのだろう。と不思議に思いつつも、良くしてもらったので、お礼を告げた。
「じゃあ、行ってきます♪」
勢い良く店を飛び出していく彼女に、ため息を吐きながらも結衣さんにお辞儀して後を追いかける。