帰りながらどうすれば朔哉が食べたいものを食べられるのか考えた。
ようするに、宜生さんさえ陥落してしまえばいいのだ。
そうすれば、うか様に分けてもらうにしても、自分で作るにしても楽勝。

「でもどうやって宜生さんを落とすかが問題なんだよね……」

「なにが問題だって?」

「うわっ」

ひょこっと朔哉の顔が目の前に現れて、思わず飛びすさっていた。

「それで。
なにが問題だって?」

訊ねてくる朔哉へ、ぎゅーっとただいまのハグをする。

「えっと。
どうやったら宜生さんと仲良くできるかな、って」

「なんで宜生と仲良くなりたいのかい?」

朔哉に伴われて歩きだす。

「その。
ほら、せっかく同じところで生活しているのに、みんなに嫌われてるから。
だから、まず最初は宜生さんと仲良くなりたいな、って」

仲良くなりたいのは本心だから、嘘はついていない。

「そうだよねー。
なんでみんな、あんなに心桜を嫌うんだろ。
こんなに心桜は可愛いのに!」

「えっ、ちょっと!」

朔哉の手が私を持ち上げる。
そのまま踊るようにくるくる回りだした。