うか様が手を叩き、やはり面を着けた、巫女装束の人たちが重そうに段ボール箱を抱えて入ってきた。
どさどさと置かれたそれは、軽く十箱を超えている。

「これ。
過去の願い帳なんだけど。
このままだと保管場所に困るから、データにしてしまいたいのよね。
全部入力してもらえるかな?」

すっと、目の前の応接テーブルの上にノートパソコンが置かれる。

「これ全部、ですか……?」


「そう、全部。
簡単な作業だし、できるよね?」

簡単な作業なんだろうけど。
いまだに次々に、段ボールが運び込まれているんですが……。

「……ちなみに、何年分くらい?」

「とりあえず、百年分?」

いまとりあえずって言いましたか、とりあえずって!!
先が思いやられるけど、やるしかないんだよね……。
これがうか様が私に課した、試練なんだし。

「わかりました。
やります」

「上等」

ニヤリと、うか様の口もとが歪んだ。

「じゃあ、お願いねー。
あ、この部屋には誰も入らないように言っておくから大丈夫。
なにあったときは呼んでね」

簡単に入力の仕方を説明し、うか様は部屋を出ていった。

「……頑張りますか」