ベッドに私を降ろした朔哉が、手にしたリボンを目に当ててくる。

「今日も目隠し、するの?」

ほどけないように強く、あたまの後ろでリボンが結ばれた。

「悪いけど、我慢して」

「……うん」

顔に触れる朔哉の手に自分の手を重ね、頬を擦り寄せる。

そして――。



目が覚めたら朝だった。

「おはよう」

「……おはよう」

私の髪を一房取り、そこにちゅっと朔哉は口付けを落とした。

昨日と同じ手順を踏んで身支度を調える。
今日はレースの掛け衿が付いた朱い着物だったけど、裾は子供用の姫浴衣みたいなスカート状になっていた。

「……こんなの、どこで知ったの?」

「秘密」

昨日の着物といい、今日の着物といい。
こんなの、コスプレかイラストでしか見ないよ。


朝食が済んで、昨日の鳥居の前に立つ。

「うか様のお住まいは日本でいうところの京都なんだけど。
これを使えばすぐだからね」

昨日は場所の説明なんかなかったから、近くなんだと思っていた。
だって、歩いて十分もかからずに着いたから。
本当はそんなに遠いんだ。

「今日は、っていうか毎日送り迎えは私がするよ」