父はそれっきり、黙ってしまった。
微妙な沈黙が家の中を支配する。
「……手紙」
なにかを思い出したかのように、父が顔を上げた。
手に掴んだままだった手紙を慌てて開く。
「……信じるしかないのか」
読み終わった父はがっくりと項垂れてしまった。
渡された手紙を母も読んでいる。
母が読み終わると今度は私も、読んだ。
そこには二度と両親に会えない遠い世界へ私を連れていってしまう詫びと、絶対に私を幸せにすると約束するから信じてほしい旨が書いてあった。
あとは、自分は神様だとちゃんと。
「心桜は本当にそれでいいのか」
「うん。
親不孝な娘でごめんなさい」
「お前がそれでいいのなら、仕方ない」
父も母も魂が抜けたかのようにお茶を飲んでいる。
本当にごめんなさい。
でも私は、朔哉と一緒にいるって決めたから。
お祖母ちゃんからあとで、首筋にできた朔哉の噛み痕を確認された。
昔もやっぱり、同じような痣ができた子がお稲荷様に攫われていったんだって。
朔哉がそんなことをしていたのかとムッとしたけれど、あとで確認したらほかの神様だった。
婚礼の支度は順調に進んでいく。
微妙な沈黙が家の中を支配する。
「……手紙」
なにかを思い出したかのように、父が顔を上げた。
手に掴んだままだった手紙を慌てて開く。
「……信じるしかないのか」
読み終わった父はがっくりと項垂れてしまった。
渡された手紙を母も読んでいる。
母が読み終わると今度は私も、読んだ。
そこには二度と両親に会えない遠い世界へ私を連れていってしまう詫びと、絶対に私を幸せにすると約束するから信じてほしい旨が書いてあった。
あとは、自分は神様だとちゃんと。
「心桜は本当にそれでいいのか」
「うん。
親不孝な娘でごめんなさい」
「お前がそれでいいのなら、仕方ない」
父も母も魂が抜けたかのようにお茶を飲んでいる。
本当にごめんなさい。
でも私は、朔哉と一緒にいるって決めたから。
お祖母ちゃんからあとで、首筋にできた朔哉の噛み痕を確認された。
昔もやっぱり、同じような痣ができた子がお稲荷様に攫われていったんだって。
朔哉がそんなことをしていたのかとムッとしたけれど、あとで確認したらほかの神様だった。
婚礼の支度は順調に進んでいく。