「心桜!」

すぐに、うか様も宜生さんも環生さんも……それどころか、多くの人が寄ってきた。

「ちゃんと連れて帰ってきた」

朔哉がにっこりと笑ってみせ、みんながほっと息をついた……までは記憶があるんだけど。
そこから先は全く、覚えていない。



ゆっくりと誰かが、私の髪を撫でる。
それが酷く気持ちよくて、ゆっくりと目を開けた。

「朔哉……」

面越しに目のあった朔哉は、唇を真一文字に結んでぶるぶると震わせていた。

「おはよう、眠り姫」

朔哉の手が背中に差し入れられ、抱き上げられた。

「……よかった、目が覚めて……」

それって、どういう意味なんだろう。
長く眠っていた気はするけれど。

「どのくらい、眠っていたの?」

「……ひと月」

「嘘っ!?」

感覚的には徹夜明けで翌日、丸一日眠っていたくらいなのに、一ヶ月もたっているなんて。

「もう、目が覚めないかと思った……」
震えている、朔哉の声。
震えている、朔哉の身体。

それだけ私は朔哉を、心配させた。

「……ごめんな、さい……」