「どこじゃ、どこじゃ!」
どすどすと乱暴な足音が次第に近づいてくる。
なすすべもなく、ただただ息を潜めて地面にへばりついていた。
「どこへ逃げた!?」
けれどその足音は脇を駆け抜けていく。
こんな目立つところにいる私に気づかずに。
もしかして彼女には導き草が見えないとかなんだろうか。
だから、この中にいる私も見えない。
都合のいい考えな気もするが、いまはそれでいい。
またずるずると少しずつ、前へ前へ進んでいく。
「私はっ。
なんとして、でもっ、朔哉の元にっ、帰る、からっ」
じりじりと少しずつ、地面を這って進む。
体力なんてもうとっくに尽きている。
ただただ、朔哉の元に帰るんだって、意地だけで前へ進んだ。
「どこじゃ、どこじゃ!?」
時折、遠くから伊弉冉様の声が響いてきて、固まる。
息を殺し、辺りをうかがってまた進むというのを繰り返した。
「出口……!」
岩の隙間から光が差し込んでいる。
うっすらと、坂の下にある桃の木が見えた。
導き草は途切れたが、もう出口はすぐそこなのだ。
きっと私はこのとき、気が緩んでいたんだと思う。
「みぃつけた」
すぐ後ろから、声がする。
どすどすと乱暴な足音が次第に近づいてくる。
なすすべもなく、ただただ息を潜めて地面にへばりついていた。
「どこへ逃げた!?」
けれどその足音は脇を駆け抜けていく。
こんな目立つところにいる私に気づかずに。
もしかして彼女には導き草が見えないとかなんだろうか。
だから、この中にいる私も見えない。
都合のいい考えな気もするが、いまはそれでいい。
またずるずると少しずつ、前へ前へ進んでいく。
「私はっ。
なんとして、でもっ、朔哉の元にっ、帰る、からっ」
じりじりと少しずつ、地面を這って進む。
体力なんてもうとっくに尽きている。
ただただ、朔哉の元に帰るんだって、意地だけで前へ進んだ。
「どこじゃ、どこじゃ!?」
時折、遠くから伊弉冉様の声が響いてきて、固まる。
息を殺し、辺りをうかがってまた進むというのを繰り返した。
「出口……!」
岩の隙間から光が差し込んでいる。
うっすらと、坂の下にある桃の木が見えた。
導き草は途切れたが、もう出口はすぐそこなのだ。
きっと私はこのとき、気が緩んでいたんだと思う。
「みぃつけた」
すぐ後ろから、声がする。