私たちは天照大御神様に禁じられているから黄泉には入れないし、人間の心桜は入った途端……それどころか漏れている空気に触れるだけでも死ぬ。
それに仮にたどり着けたとしても、伊弉冉が出す無理難題をクリアしないといけない」

「そんな……」

唯一の手段は、絶望的だった。
伊弉冉様の試練はいい、どんなものでもクリアしてみせる。
けれどそこまでたどり着けない。

「どうにかして、黄泉に入れないんですか」

「入ったら死ぬのよ!?
それでもいいの!?」

うか様がヒステリックに叫ぶ。
でも私はそれを、妙に冷静に見ていた。

「かまわない、です。
だって朔哉のためなら命を捨ててもいいって言いましたよね?」

「心桜……」

ぎゅっとうか様に抱きしめられた。
私の身体に触れる彼女の手は……震えていた。

「手段がないわけじゃないの。
あれがあれば……」

「あれってなんですか?」

なにかいるなら、探すし作る。
それくらい、平気。

「んーっと、こういう感じの、薄い着物で……」

うか様が説明してくれたものには見覚えがあった。
今日、崩れてきた物の中に入っていた奴。