できないことなど、あるはずがない。
それとも、うか様程度じゃダメってこと?
それなら……。

「じゃあ、天照大御神様に頼めばいいの!?」

あの方は一番偉い神様なのだ。
うか様にできないことでもできるはず。

「気持ちはわかるけど。
あの方は朔哉程度のもののために動いたりしない」

「そんな……」

次々に望みを絶たれ、世界が絶望に沈んでいく。

「じゃ、じゃあ。
私の残りの命、朔哉にあげる。
たった、八十年ぽっちくらいしかないけど……」

「心桜……。
できるなら、そうしてあげたい。
でも、できないから」

すん、と鼻を啜ったうか様の声は、僅かに鼻声になっていた。

「なんで神様なのに私のお願い聞いてくれないの!?
祈りが、足りないから!?
努力が、足りないから!?
足りないならもっとするから!
だから朔哉を、助けてよ……」

私が崩れ落ちてしまっても、うか様は黙って立っていた。
私の慟哭だけが部屋の中に響く。

「……心桜は朔哉のために、命を捨てる覚悟はある?」

ぼそりと呟かれた言葉に、顔を上げる。

「だから、私の命を朔哉に……」

ふるふるとうか様は首を横に振った。