でもいまは、そうするしかできなかった。

「……ここは冷えます故、中へ」

「朔哉、朔哉……」

泣きじゃくるしかできない自分が不甲斐ない。
でもいまは、それしかできなかった。

なにか食べた方がいいと食事がされたが、お茶すらのどを通らない。

「……朔哉に、会いたい」

けれどすぐに、環生さんから首を横に振られた。
熱のせいで力が弱まっていて、面をキープできないらしい。
だからさっき面が外れたし、きっと私の服も。

ソファーの隅で、膝を抱いて丸くなる。
なんで、こんなことになっているんだろう。
私が先に死ぬのが決定事項で、私より先に朔哉が死ぬなんて予定、私は知らない。
そんなの、あるはずがない。
「心桜、朔哉が大変って聞いたけど!?」

夜遅くになって、わざわざうか様が駆けつけてくれた。

「うか様……」

一度、止まった涙はまたあふれ出す。

「うか様、うか様!
朔哉が!!
朔哉を助けて!!」

泣きじゃくって縋る私を、彼女はそっと抱きしめてくれた。

「残念だけど、私は朔哉を助けられない」

「なんで!」

「なんででも」

うか様は朔哉よりも上位の神なのだ。