それがいきなり、ぽっと現れた人間風情にかっさらわれたとなれば……私でも、あたまにくるな。

「でも小さいときの朔哉の絵、可愛いー」

墨一色だけど、うか様の特徴をよくとらえている……んだろうな。
私はあの、キラキラ半面のうか様しか知らないからわからないけど。

「あー、ダメダメ。
こんなの見てたら全然進まない……」

けどきっと、ちっちゃいときの朔哉は可愛かったんだろうなー。
あ、でも、もしかして朔哉との子供ができたら、朔哉そっくりだったりしないのかな。

「朔哉の、子供……」

想像したら思いの外、恥ずかしくて棚をどんどん叩いてしまう。

――どさどさーっ。

「うっ、ヤバい」

衝撃が強すぎたのか、上に積んであったものが雪崩れてきた。

「大きな音がしましたが、大丈夫ですか?」

「はい、大丈夫です」

笑って誤魔化しながら、崩れてきた物を片付ける。
その中には薄くて綺麗な、着物もあった。

「なんでこんなところに仕舞っているんだろうね……?」

わからない、でも朔哉の落書きなんかも取っているくらいだ。
あまり意味はないのかもしれない。

「今日はこれくらいにしよう」