うか様はひらひらと手を振りながら行ってしまったけど……。
ちょっと待って、目の見えない陽華さんとふたりで……?
それはかなり無理がありそう。

「なんでもします!
踏み台でも踏み台でも、踏み台でも!」

ああ、そういう……。

「とりあえず、誰も来ないように見張っててもらえますか?」

目の見えない陽華さんに見張っていてって変な話だけど。
気配でわかるらしいし。

「……はい」

酷く残念そうですが、それくらいしか私には思いつきません。

まずは隙間に詰まっているものから出して、整理していく。
詰まっていた紙はどうみても、誰かの落書きにしかみえないものもたくさんあった。

「あ、裏になにか書いてある」

【朔哉、三歳】

この朔哉はあの朔哉なのかな……?
そしてこの表の絵はもしかして、うか様?
他の奴も裏返してみる。

【朔哉、三歳。
初めてのひらがな】

【朔哉、五歳】

【朔哉、七歳。
初めてのお願い書き取り】

全部、じゃないけれど、ちょいちょい朔哉の名前が書いてある。
うか様は朔哉がこんな小さなときから見てきたんだ。