次の日は午後からも仕事があるって朔哉がいうから、うか様のところへ行くことにした。

「いってきます」

「いってらっしゃい」

髪を一房取って、ちゅっ。
唇が離れて朔哉はにっこり笑ったけれど――。

「……こほっ、こほっ」

「朔哉?」

「ん?
ほら、狐の真似。
こん、こん」

手を狐の形にして朔哉がふざける。

「……なにそれ。
じゃ、いってきます」

朔哉もあんなことするんだとくすくす笑いつつ、うか様のところへ向かう。
待っていた陽華さんは直接、蔵へと案内してくれた。
そこにはすでに、うか様が待っている。

「酷いでしょう」

「でしょう?」

いや、そこでうか様が得意顔なのがよくわからん。

「これ……かなりかかりそうですね」

なにが入っているかわからない木箱などが積まれた隙間に、さらに本やなんかが突っ込んである。
かなり、ヤバい状態だ。

「ゆっくりでかまわないの。
そうね、……心桜が死ぬまでには」

それはまた、酷くのんびりした話ですね。

「助手に陽華を置いていくから。
好きに使ってー」

「好きに使ってください!!」