あんなに私を虐めていたうか様から頼られて、嬉しくないはずがない。

「いいのかい、心桜?」

「うん。
なんだかうか様、困っているみたいだし」

「そうなのよー。
前に倉庫番していた奴が、整理整頓のできない奴で。
もうぐっちゃぐちゃ」

それは大変、お困りですね。

「心桜がそういうのならいいけど」

朔哉がまた、はぁっと小さく、息をついた。

「よかったー」

うか様が私の手を取り、ぶんぶん上下に振ってくる。
そんなに喜ぶなんて……もしかして、かなりの酷い状態?
迂闊に引き受けてしまったことを後悔しかけたが、まあいいや。


帰りは陽華さんの送りを断り、朔哉は私に目隠しをした。

「なんで目隠しするんですか……?」

「んー?
目隠しすると心細くて、心桜がぎゅーっと私に抱きついてくれるだろ?
それが嬉しいから」

すっかり忘れていたけれど、朔哉はヤンデレ彼氏の素養があるんだった。

「本当はうか様の元へなんかやらず、ずっと私の手元に閉じ込めておきたいけどね。
それじゃ、可哀想だから」

本当にそう思っているか疑わしいが、スルーしとこ。