私をソファーの上に降ろし、ようやく朔哉は目隠しを取ってくれた。

「それで。
心桜に頼みってなんですか」

前はわがまま若女社長に振り回される、できる部下くらいにしか見えていなかったけど。
うか様の年を知ってしまうと、本当にこんな態度でいいのかドキドキしてしまう。

「蔵の整理を頼みたいの」

「……は?」

一音発したきり、朔哉の口は閉まらない。
私もうか様を凝視していたけれど。

「……なんですか、あれだけ心桜を虐め抜いておいて、まだ足りないと」

はぁっ、朔哉の口から呆れたように短く吐息が落ちる。
うんうん、そうだよ。
うか様のお屋敷の、蔵の整理だとか絶対大変に決まっている。

「違うのよ!
心桜、この間のお願い帳、適当に箱に詰め込んでいたのを綺麗に年月日別に整理してくれていて。
その腕を見込んでお願いしたいの!」

「……はぁ」

これって、うか様から頼られているってことでいいでしょうか……?

「前みたいに、毎日なんていわない。
心桜の手が空いたときにだけ来て、やってくれたらいいの。
全然、急がないし」

「……まぁ、それなら」