うか様が合図し、ワゴンでお茶が運ばれてくる。
置かれたのはお皿の上で山盛りになった――シュークリーム。
「さ、朔哉が好きだって聞いたから」
面から僅かに見える頬をバラ色に染めているうか様は、恋する乙女そのものだ。
「誰に聞いたんですか。
ああ、心桜から?」
朔哉は平静を装っているけど、さっきから周りで小花がピコンピコンと咲いていて隠しきれていない。
「朔哉のところは道の司が厳しくてこんなもの食べられないでしょう?
うちに来てくれたらいつでも食べさせてあげるわよ」
「嬉しいな」
うか様の視線が、ちらっとこちらを向く。
目のあった彼女は、唇の端を僅かに持ち上げた。
悔しくて、ギリギリと奥歯を噛みしめる。
私が、朔哉にシュークリームを食べさせてあげたいと思っていたのだ。
なのに、先を越されるなんて。
「でも食べ物につられてこちらに来たりしませんよ。
私はシュークリームより甘い、心桜と過ごす時間の方が好きですから」
面の下で、朔哉が濃紺の目を閉じてみせる。
おかげでぼふんと顔から火を噴いた。
置かれたのはお皿の上で山盛りになった――シュークリーム。
「さ、朔哉が好きだって聞いたから」
面から僅かに見える頬をバラ色に染めているうか様は、恋する乙女そのものだ。
「誰に聞いたんですか。
ああ、心桜から?」
朔哉は平静を装っているけど、さっきから周りで小花がピコンピコンと咲いていて隠しきれていない。
「朔哉のところは道の司が厳しくてこんなもの食べられないでしょう?
うちに来てくれたらいつでも食べさせてあげるわよ」
「嬉しいな」
うか様の視線が、ちらっとこちらを向く。
目のあった彼女は、唇の端を僅かに持ち上げた。
悔しくて、ギリギリと奥歯を噛みしめる。
私が、朔哉にシュークリームを食べさせてあげたいと思っていたのだ。
なのに、先を越されるなんて。
「でも食べ物につられてこちらに来たりしませんよ。
私はシュークリームより甘い、心桜と過ごす時間の方が好きですから」
面の下で、朔哉が濃紺の目を閉じてみせる。
おかげでぼふんと顔から火を噴いた。