魔王
「うーん。何だろう。寒気というか嫌(な予感がする」


勇者
「どうも来ました」


魔王
「お前のせいか。納得したわ」


勇者
「俺に会えなくて寂しかったのか?」


魔王
「逆だ。お前の顔を思い出しただけでムカムカしてくる」


勇者
「妊娠したの?」


魔王
「違うわ」


勇者
「俺くらいの勇者になると見ただけでニワトリに卵を産ませる能力がある」


魔王
「待て貴様。誰がニワトリだ」


勇者
「それはそうと魔王痩せた?」


魔王
「なんだ急に。まあ少し痩せたかもな」


勇者
「やっぱりか。卵産んだからしょうがないね」


魔王
「産んどらんわ!さっきから人をコケにしよって」


勇者
「あ! 今コケって言った! コケコッコー!」


魔王
「小学生かお前は!」


勇者
「しかしお前って魔王っぽくないよな」


魔王
「また急に何を言う。どこからどう見ても世界を支配する魔王様だろう」


勇者
「まあ自分で魔王様とか言っちゃうところは魔王(笑)っぽいな」


魔王
「おいバカにしてるのか? そういうお前のテンプレート的な魔王像とはどんな物なのだ」


勇者
「そうだなあ。やっぱりもっと踏ん反り返っている感じが良いな」


魔王
「ほう」


勇者
「あと顔には蝶々のマスクをつけていて黒いピッチピチのボンテージを着ててさ」


魔王
「……ん?」


勇者
「女王様とお呼び!とか言って鞭で叩いてきたりロウソクを垂らして来る感じにして欲しい」


魔王
「SM嬢だよな! お前の願望(がんぼう)だよなそれは! 途中から気付いたぞ!」


勇者
「と、いうことで黒いハイレグのボンテージ持ってきました」


魔王
「そんなものをここに持ち込むな!」


勇者
「着ろよ」


魔王
「誰が着るか!」


勇者
「じゃあ俺が着るわ」


魔王
「なんでお前が着るんだ!?」


勇者
「着たぞ」


魔王
「早っ!」


勇者
「じゃあ改めて。『勇者と魔王のSMプレイ』始まります」


魔王
「始めるな!」


勇者
「さあ早く俺を鞭で打つんだ!」


魔王
「嫌に決まってるだろ!」


勇者
「しょうがない。じゃあ戦って決着を付けようか」


魔王
「じゃあってなんだ! ついでか!?」


勇者
「今日こそはお前を倒す! ヒヨコ鑑定士のこの俺が!」


魔王
「話をブンブン振り回しすぎだ貴様!」


勇者
「お前も鑑定してやろう」


魔王
「ヒヨコ鑑定士というとオスかメスかを区別するアレか?」


勇者
「いやヒヨコかヒヨコじゃないかを区別する方だ」


魔王
「誰でもできるわ!」


勇者
「ヒヨコ鑑定士的にみてお前はウミガメだ」


魔王
「ぬあああ! いい加減にしろよ変態! 粉微塵に消しとばしてくれるわ!」


勇者
「あ、このムチを使ってお願いします」


魔王
「……」


勇者
「さあ! バッチコーイ!」


———無心で鞭を振りかぶる魔王。


魔王
「オラァ!」


勇者
「アアン! モットォ!」


終わり