地球は爆発し、宇宙の星屑と化すでしょう。
 そんなニュースが世間を騒がしたのは、1年前のこと。高校生である私たちが生まれる前にも、「ノストラダムスの大予言」とかいう人類滅亡説はあったらしいけれど、今回はきちんとした科学的根拠があるようで、逃れられないらしい。

 正確な日にちはわからない。それはどんな高知能学者を以てしてでも特定できなかった。だけど間違いなくこの夏には爆発すると、その確率は99パーセント越えだってテレビで言っていた。

 まあそうだけどさあ、と吾一。納得したようなしてないような、どっちつかずの顔で私を見る。

「じゃああと15分したら、カウントダウンしてみるか。俺も明日の引っ越し準備あるから、そろそろ帰らなきゃだし。沙里の予言がもし当たったら、お前の好きなチョコでも今度奢ってやるよ」

 引っ越し準備。うるさい黙れって思う。

「吾一のあほ。死んだあとにどうやってチョコ買うのよ」
「あーそっか」
「しかもその今度っていつ。明日には引っ越しちゃうくせに」
「確かに。んじゃあ念のため、今コンビニ行って買ってくるか」

 よいせ、とセリフじみた声と共にベンチから腰を上げた吾一は、そのままスタスタと出口に向かい、公園をあとにした。
 なんちゅうへんてこな思考の幼馴染みなんだ、と思いながらも、どっちにしろ奢ってくれるんかい!と、私は心の中でツッコミを入れた。

 くすっと笑って吸い込む空気が、焚き火の側にいるかの如く熱い。うなじを迸る汗。昔からしたら信じられないほど暑くなってしまったこの世界は、やはりもうすぐ地球が爆発する前触れなのだろう。