セイレーンがスルトの左腕を翻弄する。しかし、スピードはほぼ同じか、スルトの方が若干速い。追いつかれそうになると、舵を切って急旋回する。アルテミスは、そんなアクロバット飛行を続けた。
ポセイドンはヒュドラの経口全ての照準をスルトの左腕に合わせた。そして、出力量を最大に設定し、氷を発射した。正確には氷ではなく大気を凍りつかせる風である。
「発射!!」
凍てつく風がスルトの左腕を包んで氷の膜を作り、2秒ほど動きを止めた。
《ハーデス!》
《ああ!》
ハーデスはすかさず、サンギルドファングボムの発射ボタンを押した。
ケルベロスの右側の首が光ったかと思うと、胴体から分離して一直線にスルトに向かう。ケルベロスの頭は大きく口を開いてスルトの左腕に噛みついた。次の瞬間――その牙が光り、標的の内部にエネルギーを注ぎ込んだ。
力尽きたケルベロスの頭は崩れて海に落下。同時に、スルトの左腕はが光り、内部から爆発した。
この一連の動きが、わずか2秒の間に発生したのだ。
《やった!》
アルテミスが叫んだ。
《3発しかないというのは、これが理由だったのか》
ポセイドンが呆れたようにつぶやく。
ハーデス曰く、このサンギルドファングボムは、ケルベロスの牙にサンギルドシステムを応用した装置を組み込んでいるという。頭部に蓄積された太陽エネルギーが牙を伝わって標的に注ぎ込み、内部から爆発させるというものだ。ケルベロスの首が3つだから、3発まで発射できる。
しかし、3発使い終わった後はケルベロスの頭――つまり砲身もなくなるので、戦闘不能になる。まさに捨て身の攻撃だ。ケルベロスはこの戦いで完全燃焼させるつもりだ。
《さあ、あと2体! いくぞ!!》
しかし、ハーデスが叫んだとたん、セイレーンが空中でバランスを崩した。スルトの右腕が殴りかかってきたのだ。
《きゃああっ!》
直撃は避けたが、両翼を溶かされてセイレーンは落ちていく。
《アルテミス!!》
なすすべもなく、地上に墜落して大爆発した。
《アルテミス、脱出できたのか!?》
《脱出ポッドが飛び出たように見えたが、確証が持てん》
死んだかもしれない――しかしこれは戦いだ。戦死することは想定内である。
ハーデスもポセイドンもアルテミスの無事を信じ、残る2体に対峙した。
《それにしてもどうするよ。攪乱してくれる戦闘機がなければやりにくいぜ》
《増援を呼ぶか……》
ペガサスとグリフォンのことが頭をよぎった。彼らが来てくれれば戦況は有利になる。しかしこの後にグールヴェイグの襲撃してくることを考えると、できれば避けたかった。
《加勢するぞ!!》
突然、ケルベロスとヒュドラに通信が入った。同時に、20機ほどのスレイプニルが現れたのだ。
《アスガルド空軍のフレイだ! あのデカブツを引きつける!》
《よせ! 並の敵ではない、死ぬぞ!!》
《自分の国の防衛を、貴国に任せっきりにはできない! 行くぞ!!》
スレイプニルたちはスルトの右腕と頭を取り巻き始めた。セイレーンに比べて機動性は劣る。次々に叩かれ、パイロットも機体も蒸発していく。
《早めに頼む! たいした力にはなれそうもない!!》
《分かった! ハーデス、2発目いくぞ!!》
《おう!》
ヒュドラがスルトの右腕に照準を合わせ、氷を発射した。同時にケルベロスの左首が腕に噛みつき、先ほどと同様に崩れ落ちた。直後、標的の右腕が光って爆発した。
《よし!》
しかし、この間にスレイプニルは5機にまで減ってしまった。残った頭部をさっさと撃破しなければ……!
ところが次の瞬間、想像していなかった光景を目にした。
ポセイドンはヒュドラの経口全ての照準をスルトの左腕に合わせた。そして、出力量を最大に設定し、氷を発射した。正確には氷ではなく大気を凍りつかせる風である。
「発射!!」
凍てつく風がスルトの左腕を包んで氷の膜を作り、2秒ほど動きを止めた。
《ハーデス!》
《ああ!》
ハーデスはすかさず、サンギルドファングボムの発射ボタンを押した。
ケルベロスの右側の首が光ったかと思うと、胴体から分離して一直線にスルトに向かう。ケルベロスの頭は大きく口を開いてスルトの左腕に噛みついた。次の瞬間――その牙が光り、標的の内部にエネルギーを注ぎ込んだ。
力尽きたケルベロスの頭は崩れて海に落下。同時に、スルトの左腕はが光り、内部から爆発した。
この一連の動きが、わずか2秒の間に発生したのだ。
《やった!》
アルテミスが叫んだ。
《3発しかないというのは、これが理由だったのか》
ポセイドンが呆れたようにつぶやく。
ハーデス曰く、このサンギルドファングボムは、ケルベロスの牙にサンギルドシステムを応用した装置を組み込んでいるという。頭部に蓄積された太陽エネルギーが牙を伝わって標的に注ぎ込み、内部から爆発させるというものだ。ケルベロスの首が3つだから、3発まで発射できる。
しかし、3発使い終わった後はケルベロスの頭――つまり砲身もなくなるので、戦闘不能になる。まさに捨て身の攻撃だ。ケルベロスはこの戦いで完全燃焼させるつもりだ。
《さあ、あと2体! いくぞ!!》
しかし、ハーデスが叫んだとたん、セイレーンが空中でバランスを崩した。スルトの右腕が殴りかかってきたのだ。
《きゃああっ!》
直撃は避けたが、両翼を溶かされてセイレーンは落ちていく。
《アルテミス!!》
なすすべもなく、地上に墜落して大爆発した。
《アルテミス、脱出できたのか!?》
《脱出ポッドが飛び出たように見えたが、確証が持てん》
死んだかもしれない――しかしこれは戦いだ。戦死することは想定内である。
ハーデスもポセイドンもアルテミスの無事を信じ、残る2体に対峙した。
《それにしてもどうするよ。攪乱してくれる戦闘機がなければやりにくいぜ》
《増援を呼ぶか……》
ペガサスとグリフォンのことが頭をよぎった。彼らが来てくれれば戦況は有利になる。しかしこの後にグールヴェイグの襲撃してくることを考えると、できれば避けたかった。
《加勢するぞ!!》
突然、ケルベロスとヒュドラに通信が入った。同時に、20機ほどのスレイプニルが現れたのだ。
《アスガルド空軍のフレイだ! あのデカブツを引きつける!》
《よせ! 並の敵ではない、死ぬぞ!!》
《自分の国の防衛を、貴国に任せっきりにはできない! 行くぞ!!》
スレイプニルたちはスルトの右腕と頭を取り巻き始めた。セイレーンに比べて機動性は劣る。次々に叩かれ、パイロットも機体も蒸発していく。
《早めに頼む! たいした力にはなれそうもない!!》
《分かった! ハーデス、2発目いくぞ!!》
《おう!》
ヒュドラがスルトの右腕に照準を合わせ、氷を発射した。同時にケルベロスの左首が腕に噛みつき、先ほどと同様に崩れ落ちた。直後、標的の右腕が光って爆発した。
《よし!》
しかし、この間にスレイプニルは5機にまで減ってしまった。残った頭部をさっさと撃破しなければ……!
ところが次の瞬間、想像していなかった光景を目にした。