「アンドラ、無事に脱出できたかな……」
ソールは、グリフォンと空中で間合いを取りながら呟いた。
先程、沿岸部から強烈な光が放たれた。あれはケートスの自爆装置が作動したものだ。自分でケートスに取り付けたからよく分かる。
《ソール、ボケッとするな!》
フェンリルの怒鳴り声で我にかえったソールは、目の前に迫ってきたケラウノス光線をかろうじて回避した。が、翼の先が折れてしまった。
「ちっ!」
すかさず修復する。
アルカディアの空戦部隊でも、一、二を争う機体・グリフォンから放たれた光線はかなりやっかいだった。
《おい、気をつけろソール! あの機体の光線、今までにない破壊力だぞ!!》
「分かっているさ」
ペガサスとグリフォン……この二機は、アルカディアの機体でもソールが良く知るものだった。
ペガサスのハルペー光線は細い直線状のビーム兵器で、装甲は新兵器開発の実験で偶然できたメデューサ装甲だ。光線は強力だが攻撃範囲が広くない。むしろ注目に値するのは装甲で、ソールが知る限り世界一の強度だろう。
対してグリフォンは機体全身でエネルギーを精製し、標的めがけて発射する。攻撃範囲は広い。それに、この機体にはもっとやっかいな機能があった。
《ん? 何だあいつ、攻撃やめたぞ》
「まずい……」
ソールの嫌な予感は当たった。グリフォンはエネルギーを発生させ、それを充電するかのように光り始めた。
《おい、何だありゃ!》
来る!
「よけろ、フェンリル、ヨルムンガンド!」
ソールが叫んだ瞬間、これまでの数倍の範囲の光線が放たれた。フェニックスもニーズホッグもどうにか避けたが、光線が当たった大岩が吹き飛んだ。
《マジかよ……》
「グリフォンのケラウノス光線はエネルギーチャージの機能があるんだ! チャージ中に攻撃しないと!」
ソールは叫んだもののそれは不可能に近かった。フェニックスとニーズホッグで挟撃しようとしても、グリフォンはあっさり射程範囲からすり抜けてしまう。間合いを取りながらエネルギーを溜め、撃ってくる。洗練された戦い方だ。
やはりトップガンは伊達ではなかった。
《どうするんだよ、ソール!!》
「とにかく攻撃を仕掛けるぞ!!」
右にフェニックス、左にニーズホッグがまわり両方向からテイルブレードショットとブリザードブレスで攻撃した。が、あっさりかわされた。
「もう一度だ!」
《ソール、すまん。もうブリザードブレスは撃てない》
ヨルムンガンドからの冷静な声。撃てないだと?
《冷却装置がオーバーヒートを起こしたようだ》
「なんてことだ……」
その刹那、グリフォンの放った光線が、ニーズホッグの左翼を根元からもぎとってしまった。
《しまった!》
「フェンリル、ヨルムンガンド!」
《わりいなソール、運がよかったらまた会おうぜ!》
そう言って、ニーズホッグは漆黒の谷に落ちていってしまった。
「おい、返事しろ!」
《人の心配をしている場合か?》
グリフォンに乗っているアーレスから通信が入った。
《まったく、派手に暴れやがって…死者が出なかったのが奇跡だ》
「俺は人を殺すつもりはない! アポロンの遺志を届けに行きたいだけだ!」
《のぼせ上がるんじゃねえ!!》
いつも飄々としているアーレスが、珍しく真面目に怒鳴った。
「殺すつもりはなくとも戦闘機で戦えば甚大な被害が出ることもある。それに巻き込まれて死ぬ民間人もいるんだぞ!」
ソールは黙った。
《とにかく機体を捨てて投降しろ。ゼウスたちには便宜を図ってやるから》
すると、フェニックスは速度を上げて上昇した。
「ごめんだね!」
《おい!》
「ここまで来てあきらめられるか! 捕まえられるなら捕まえてみろ!」
《そこまで言うなら……!!》
アーレスはグリフォンの速度を上げてフェニックスを追い始めた。
ソールは、グリフォンと空中で間合いを取りながら呟いた。
先程、沿岸部から強烈な光が放たれた。あれはケートスの自爆装置が作動したものだ。自分でケートスに取り付けたからよく分かる。
《ソール、ボケッとするな!》
フェンリルの怒鳴り声で我にかえったソールは、目の前に迫ってきたケラウノス光線をかろうじて回避した。が、翼の先が折れてしまった。
「ちっ!」
すかさず修復する。
アルカディアの空戦部隊でも、一、二を争う機体・グリフォンから放たれた光線はかなりやっかいだった。
《おい、気をつけろソール! あの機体の光線、今までにない破壊力だぞ!!》
「分かっているさ」
ペガサスとグリフォン……この二機は、アルカディアの機体でもソールが良く知るものだった。
ペガサスのハルペー光線は細い直線状のビーム兵器で、装甲は新兵器開発の実験で偶然できたメデューサ装甲だ。光線は強力だが攻撃範囲が広くない。むしろ注目に値するのは装甲で、ソールが知る限り世界一の強度だろう。
対してグリフォンは機体全身でエネルギーを精製し、標的めがけて発射する。攻撃範囲は広い。それに、この機体にはもっとやっかいな機能があった。
《ん? 何だあいつ、攻撃やめたぞ》
「まずい……」
ソールの嫌な予感は当たった。グリフォンはエネルギーを発生させ、それを充電するかのように光り始めた。
《おい、何だありゃ!》
来る!
「よけろ、フェンリル、ヨルムンガンド!」
ソールが叫んだ瞬間、これまでの数倍の範囲の光線が放たれた。フェニックスもニーズホッグもどうにか避けたが、光線が当たった大岩が吹き飛んだ。
《マジかよ……》
「グリフォンのケラウノス光線はエネルギーチャージの機能があるんだ! チャージ中に攻撃しないと!」
ソールは叫んだもののそれは不可能に近かった。フェニックスとニーズホッグで挟撃しようとしても、グリフォンはあっさり射程範囲からすり抜けてしまう。間合いを取りながらエネルギーを溜め、撃ってくる。洗練された戦い方だ。
やはりトップガンは伊達ではなかった。
《どうするんだよ、ソール!!》
「とにかく攻撃を仕掛けるぞ!!」
右にフェニックス、左にニーズホッグがまわり両方向からテイルブレードショットとブリザードブレスで攻撃した。が、あっさりかわされた。
「もう一度だ!」
《ソール、すまん。もうブリザードブレスは撃てない》
ヨルムンガンドからの冷静な声。撃てないだと?
《冷却装置がオーバーヒートを起こしたようだ》
「なんてことだ……」
その刹那、グリフォンの放った光線が、ニーズホッグの左翼を根元からもぎとってしまった。
《しまった!》
「フェンリル、ヨルムンガンド!」
《わりいなソール、運がよかったらまた会おうぜ!》
そう言って、ニーズホッグは漆黒の谷に落ちていってしまった。
「おい、返事しろ!」
《人の心配をしている場合か?》
グリフォンに乗っているアーレスから通信が入った。
《まったく、派手に暴れやがって…死者が出なかったのが奇跡だ》
「俺は人を殺すつもりはない! アポロンの遺志を届けに行きたいだけだ!」
《のぼせ上がるんじゃねえ!!》
いつも飄々としているアーレスが、珍しく真面目に怒鳴った。
「殺すつもりはなくとも戦闘機で戦えば甚大な被害が出ることもある。それに巻き込まれて死ぬ民間人もいるんだぞ!」
ソールは黙った。
《とにかく機体を捨てて投降しろ。ゼウスたちには便宜を図ってやるから》
すると、フェニックスは速度を上げて上昇した。
「ごめんだね!」
《おい!》
「ここまで来てあきらめられるか! 捕まえられるなら捕まえてみろ!」
《そこまで言うなら……!!》
アーレスはグリフォンの速度を上げてフェニックスを追い始めた。