今から数千年前のギリシア上空で、赤い翼の大きい鳥が、丘の上の神殿に向かって飛んでいた。それは鳥ではなく――戦闘機だった。
「あと少しだ……なんとかもってくれ、フェニックス」
 その戦闘機のコックピットで、パイロットはつぶやいた。
「それにしても、一介の整備兵の俺が、まさか軍事大国のアルカディアにけんかを売るなんてなあ…」
 人生どう転がるか分からないなと、パイロット――ソールはまたつぶやいた。
 

 この物語は、古代世界――現代では、神話として語り継がれている時代に起きた事故、紛争、テロ、災害を綴ったものである。現代にも匹敵する文明を謳歌した人類。この古代文明が、後に世界中の神話になっていくことになる。

 物語は、現代でいうギリシアに位置する国家・アルカディアと、地中海沿岸のエジプトの都市・アレクサンドリアから始まる――。