「私たちが間違った行動を取っていなければ、割と何でも許してくれるものよ」
「そういうものなんですか?」
「そういうものなの」
前にも思ったけど、神様ってなかなか合理的だ。
「本庁が審神者を選ぶ基準って何なんですか? 言祝ぎの力が多いことっていうのは前に本で読んだんですけど」
誉さんはそうねぇと頬に手を当てて首を捻る。
「詳しい条件は本庁の上層部しか知らないのだけれど、歴代の審神者に共通することなら幾つかあるわね」
姿勢を正して誉さんを見つめる。
「巫寿さんの言う通り言祝ぎの力が多いこと、これは外せないわね。20歳の時点で一級以上の神職が選ばれるわ」
ということは誉さんも一級以上の実力を持っているということになる。
「それと未婚女性であること、これは他の社の巫女と同じね。あとは先見の明があること。審神者の主な役割は未来を視て、人と妖を守り導くことですから。家系も関係あるみたいよ。選ばれるのはお社に仕えていた神職の家系が多いの。性格やそれまでの実務経験なんかも考慮されるみたいだけれど、私が分かるのはこれくらいかしらね」
誉さんが知っているだけでもこんなに細かい条件があるんだし、実際はもっと多いんだろう。
次の審神者が未だに選ばれず空白のままなのは、選ぶ条件が細すぎるからなんじゃないだろうか。