あの日飛び降りようとした、僕を引き止めたのは、一年の山崎颯斗(やまざきはやと)だった。顔と名前は知っていが、話したことは全くなかった。話したこともない人に引き止められた悠斗、は驚きのあまり、「え....」と声を溢した。颯斗は気にすることなく、「なんで、飛び降りようとしてんの?」と聞いてきた。元々、友達も少なく人と話すことの少なかった悠斗は、なんと返せばいいか分からず、黙りこんでいた。颯斗は何かを察したのか「悠斗さんってこの間、海里に告った人でしょ?」と言った。悠斗は否定することなく、頷いた。それを見た颯斗は少し笑いながら「あの時は見てるこっちも驚いたよ。男が男に告ってんの見たことなかったから。でも、海里も言い方酷いよな。人間なんだから、好きな人くらいできるのにな」と言った。