4月、中学3年生になった城下悠斗(しろしたゆうと)は平凡の日々を過ごしていた。そんな平凡の日々を過ごす悠斗にも残酷な過去がある。それは"失恋"だ。中学生が失恋をすることは珍しいことではない。だか、悠斗の失恋は少し一般的な失恋とは違った。それは、悠斗がLGBTQのG、男性の同性愛者だからである。それがどんな失恋なのか具体的に説明すると、悠斗が失恋したのは中学2年の時の夏だ。悠斗は年下の1年の男子、奥谷海里(おくたにかいり)に恋をしていた。今まで感じたことのない気持ちに襲われ、どうしようもなくなった悠斗は、こっそり、告白しようと考えた。だが、どこから情報が漏れたの分からないが、悠斗が告白するという噂が広まり、結局、ほとんどの全校生徒が見ている前で告白した。悠斗は勇気を振り絞り、「好きです。付き合ってください」と伝えた。海里から返ってきた答えは残酷なものだった。「キモ、まじありえない。顔も見たくないからどっかに行って」と返ってきたのだった。その場面を見ていた全校生徒は静まりかえり、その空気間に耐えられず、悠斗は1人号泣していた。振られてしまった事をキッカケに悠斗は「俺はキモいんだ。生きている意味なんてないんだ」と自分を追い詰め自殺しようとしていた。悠斗の通っていた学校は4階建てだったため、悠斗は4階のベランダに1人立っていた。もうこのまま死のうと考え、飛び降りようとしたその時、誰かが悠斗の背中を引っ張り、ベランダに勢いのまま悠斗は倒れこんだ。倒れたまま顔を上げると、そこには、1人の男子が立っていた。