柚乃(ゆの)〜!バスケ部見に行こうよ!!」
 

「いいよ!」


小学校を卒業して15日、中学校に入学して2日目。初めての部活動見学。

着慣れない、ピシッとした新しい制服に身を纏った私達。

5校時には部活動紹介があって、今は自由に部活動見学中。


私の入学した中学校は部活が少なかった。
野球部、ソフトテニス部、バドミントン部、陸上部、バスケ部、美術部、合唱部、そして、剣道部。


私は、なにかに夢中になってみたくて夢中になれそうな部活を莉乃(りの)と探している。


莉乃は小学校低学年の頃からの縁。なんかテンション狂ってた私が莉乃に


「フレンドなろ〜!」
って言ったらしい。すごい恥ずかしい。全くを持って私は覚えていないけど、本人は
めちゃくちゃ覚えているらしい。そんな仲で低学年の頃からずーっと一緒。


そんなことも束の間。色々思い出しているうちに体育館へ着いた。


小学校よりもずーっと広い体育館。その中先輩たちがどんどん3ポイントを決めていく。

光る汗がかっこよかった。私も何かに一生懸命になりたいって思った。


休憩中に先輩に声をかけてみた。

「週に何回あるんですか?」


「5回はやってるかな!きついけど楽しいよ!一緒にバスケやろうよ!!」


「わぉ!たくさん練習してるんですね!親に聞いてみますね!」


そう言ったものの、週に5回は流石に無理だ。

莉乃は、、、退屈そうに私の手を握って遊んでいた。そもそも入る気がなかったらしい。


莉乃に「よし!じゃあ次だ!どこ行きたい?」と声をかけてみる。

すると莉乃は、「美術部行ってみたい!」と言った。


私は美術部に入る気はないけど取り敢えず着いてってみる。

莉乃は昔から絵が上手だった。美術部に入って腕を磨くのもいいと思う。


だけど私は莉乃とおなじが良かった。ずーっと一緒にいたかった。
 
諦めも大事だよね。そう思いながら、そっと莉乃の手を離した。
送り出せなくてごめん。心のなかで沢山謝った。