どこにでもあるような小さな公園や肝試しで勝手に入って怒られた廃屋、お花見で訪れた広場、一緒に魚釣りをした川、寄り道で行った駄菓子屋

あんな夢を見たせいだろうか、進んでたどり着いた場所すべてが梨華との大事な思い出が詰まった場所だった。

幼い頃、梨華と作った秘密基地に辿り着いた。

こんなに小さかったのかと思いながら中を覗いてみると中は昔と同じで何一つ変わっていなかった。

小さな机、薄いピンク色と水色の小さな椅子、幼い頃気に入っていた本、トランプ、光るおもちゃなどが昔と同じ場所に置かれていた。

この秘密基地は元は梨華のひいおじいさんが物置として使っていたがもう使わないからとよく外で遊び回ってる俺たちに休憩場所としてプレゼントしてくれた場所だ。

俺が「ひみつきちみたい!」と言ったのを梨華が「ここひみつきちにしようよ!トランプとか持ってきてさ!お母さんとかにおこられたりしたらここにいっしょににげて来るの!」そう言い出したことがきっかけでここは梨華と俺の秘密基地となった。

ずっと散歩をしていてすこし疲れたから秘密基地の小さな椅子に座り少しくつろごうとしたら外から物音がした。なんだろうと興味が湧いた俺は外を覗いてみるとそこには言葉では簡単にあらわせない、あらわしてはいけないような女性が立ち尽くしていた。

―この人は誰だ?