「えっ? 恵一?」

 すると恵一はギュッと由梨香を抱き締めてくる。思わない彼の行動の動揺する。
 心臓が破裂するのではないかと思うほどドキドキと高鳴っていた。

「俺は、由梨香の事が好きなんだ」

「……っ!?」

 由梨香は驚き過ぎて言葉が出て来なかった。、まさか彼の方から告白をしてくれるなんて。しかも、こんな日に。

「なら……何で早く言ってくれなかったのよ。好きだって」

「……ごめん。もし言って振られたら関係が壊れるような気がして怖かったんだ」

「なによ……それ」

 それだと、まるっきり私と一緒じゃない。
 変化が怖くて、本当の気持ちが言えなかったこと。ずっと片思いをしてきたこと。
 お互いの本当の気持ちを知ってしまったら、後悔しか残らないじゃない。
 自分の気持ちをひた隠しをして、いい思い出として終わらせるはずだった。
 もう……何でこんな時に。
 由梨香の目尻に涙が溢れてくる。最後のワガママをするはずが、どうしようもなく罪悪感と苦しさでどうにか、なにそうだった。

「私は……」

 涙声になりながらも必死に言葉に出そうとする。その時だった。
 恵一は由梨香の唇を塞いだ。これ以上何も言えなくなる。
 初めてのキス。しょっぱくて……ひたすら愛おしいと思えるほどのキスだった。
 塞がれたまま近くにあったベッドに押し倒されてしまう。
 予定とは少し違ったけど。
 それでも、この気持ちが溢れるようなキスを何度もする。深く刻み込むように。