夕暮れ時に笑うキミを僕は永遠に忘れない

「お父さん!!!!」
私は悲鳴を上げる体を無理矢理起こしてお父さんの側に行き手を掴んだ。
お父さんは全身血だらけで意識朦朧としていた。
「か…なで…よかっ…た…生きてて…」
私が近づくとお父さんは安心した顔して手を強く握り返しながらそう言った。
事故発生で集まってきた人たちが警察と救急車に連絡したり、スマホで撮影したりしていて辺りが騒がしくなっている。
「お父さん死なないで!今救急車来るから!!」
私は目の前で優しい顔をするお父さんに必死に呼びかけた。
「か…なで、君はお父さんがいなくても大丈夫だよ…」
そう言うとお父さんの手からだんだん力が抜けていった。
自分の心臓の音が次第に大きくなるのを感じた。
「やだ…いやだ…お父さん!!!!!」
私はこの日大好きなお父さんを目の前で亡くした。
私を庇ったせいで…

その後のことはよく覚えていない。
ただ目が覚めたとき私は病院のベットの上で寝ていて、
お母さんはベット横の椅子に座って泣いていた。
その後来た警察にいろいろと事情を聞いて、突っ込んで来た車の運転手は心臓発作を起こして、そのまま亡くなったらしい。
私はお父さんに突き飛ばされたお陰で、擦り傷と軽い打撲で済んだそうだ。
そしてお父さんは救急隊が着いた頃にはもう手遅れだったと言われた。
「なんで…お父さん…」
父を失った悲しみから涙が止まらない。
あの時の光景と父の手の感触が脳に焼き付いている。
母は父を失ったことがショックで今も泣き続けている。

3日後私は病院を退院した。
家に帰ると母から言われた。
「もう公園には遊びに行かないで」
今思えば、母は私まで失いたくなくて言ったのだろう。
だけど当時の私は父がいなくなった今、つーくんと遊べなくなることが嫌だった。
「嫌だ!なんでダメなの!」
私がそう言ったとき母は…
「言うこと聞きなさい!!」
そう怒鳴った…
こんな母は見たことがなかったし、よく顔を見ると窶れていた。
そんな母を見た私はもう何も言えなかった…