もう夏の暑さが抜けきって、肌寒さを感じる今日この頃、僕のクラスに転校生が来た
「じゃあ自己紹介をしてくれ」
先生がそう言うと、転校生は冷たい声で自己紹介をした。
「夜野奏です」
だがその一言だけだった。
「それだけでいいのか」
「他に言うことも無いので」
担任の北山先生が流石にこのままじゃいけないと、もっと続けるよう促したが、冷たい声で、その言葉も一蹴してしまった。
「まぁいいか、みんな、まだ夜野さんはこの学校に慣れてないから、困ってたら助けてあげるんだぞ」
北山先生も諦めてしまったのか、そのまま何事も無かったかのように進めた。
「じゃあ夜野は、真昼の隣席に座れ」
「分かりました」
そう言って彼女は、クラスで男女ともに人気の高い比野真昼の隣の席に座った。
「よろしくね〜かなでちゃん」
「よろしくお願いします」
お互いに挨拶はしたが、やはり彼女は塩対応だった。なぜここまで塩対応なのか、少し疑問に思ったが関わることもないのでこの時は特に気に留めなかった。