「流石に寒いな」
季節はもう11月、外はすっかり寒くなってる。
(流石に早く来すぎたか…)
今日は奏との約束があるので、早めに集合場所に向かったのだが、まだ居ないらしい。
(仕方ないもう少し待つか)
そう考えていると、
「早いわね紬くん」
聞き覚えのある声が、話しかけてきた。
「そっちこそ、集合の30分前だぞ」
「私が誘ったのだから、遅れてくるのはあまりに失礼でしょ」
「そっか」
真面目なやつだなと思いつつ、やっぱりすごい視線が集まるなと思った。
ただでさえ容姿端麗なのに、ロングコートとブーツに着られてるような感じがなく、上手に着こなしてる。
(改めて見ると、やっぱり綺麗なやつだな)
クラスの男子がお近づきになりたいと思うのも、少しは同感できる。
「どうかした?」
「いや、何も」
思ったことを誤魔化したら、奏は不思議そうな顔をしたけど、気にせず、「早く行きましょ」と言って目的地に向かって歩いていった。
それに合わせて俺も歩いて行った。