「……分かった」

 早瀬とこうして身体を重ねる日が来るなんて、思ってもなかった。
 そもそも俺は、早瀬と付き合っている訳でもない。でも、両思いであるということが分かって、少し嬉しく思う。

「早瀬……好きだよ」

「私も、好きだよ……朔月くん」

 細い身体の早瀬に触れる度に、俺の心は疼くような気持ちになった。
 早瀬の指に自分の指を絡めてギュッと握ると、自然とお互いの気持ちが繋がりあったような気持ちになった。

 俺の好きな早瀬は、笑顔が可愛くて、優しくて、温かい人だった。
 いつから早瀬のことを好きだったのかは、分からない。でも気付いたら、とてつもなく好きになっていた。

 早瀬が本屋を辞めてから、俺は早瀬がどうしているのか気になっていた。 でももう会えない……そう思っていたから、またこうして会えるのは嬉しい。
 でもまさか……早瀬が病気だなんて、信じがたい。

「朔月くん……大好き……」

 早瀬のその愛おしそうな表情を見て、俺は早瀬の唇に口付けた。

「早瀬……」

 早瀬のことを愛おしいと思うこの気持ちは、本物だ。 ずっとずっと、俺は本当はこうして、早瀬に触れたかったのかもしれないーーー。



「早瀬……身体、大丈夫か? 辛くないか?」

 本当に早瀬のことを、抱いてしまった。 本当に……良かったのだろうか。